松井・JCB連合の参入で大手5社の総力戦に、赤字でもやめられない「クレカ積立」地獄の消耗戦
本来はカード会員と証券会員の相互送客によって、新たに得られた利益で「クレカ積立」の赤字を補う想定だったとみられるが、競合会社の関係者は「『クレカ積立』の利用のみが多く、新規会員を獲得できても収益貢献が少なかったようだ」と語る。結果として、累計積立額1兆円に達するほどになっても、「クレカ積立」単体での収支は厳しい状況とみられる。

クレカ積み立ては顧客流出の「防衛戦略」へ変貌
収益性の観点だけを見れば、クレカ積み立てから撤退するのが最適解とも映る。しかし、サービスを持たないこと自体が顧客の離反を招く要因となりつつあり、撤退という選択肢すら封じられているのが現状だ。
とくに新規顧客やメインカード利用者の獲得競争が激化する中で、サービスを停止した場合の顧客流出は計り知れない。証券・カード両会社にとって顧客流出の「防衛戦略」となっている形だ。
裏を返せば、参入していない事業者は新規顧客を他社に奪われるということ。今年5月に松井証券とJCBが遅れて参入した背景にも、「防衛」の意識があったとみられる。
両社は今までクレカ積み立てに参入していなかったことで、顧客が他社へ流出したと分析したようだ。ある関係者は「(クレカ積み立てに)これ以上出遅れると取り返しがつかないと考えた」と語る。市場競争の激化を踏まえれば、これ以上の後れは致命的と映ったのだろう。
まさに“やめるも地獄、続けるも地獄”のジレンマに業界全体を巻き込んでいるクレカ積み立て。出口の見えない消耗戦が続いている。
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