「最初のバイトはヤマト」「コンビニバイトで難しいのはタバコとおでんの名前を覚えること」ベトナム女子が語るリアルな留学&バイト生活

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コンビニ時代の思い出を語り合うふたりだが、先ほどのタバコの話のように困った客も来る。ストレスがたまっているのか店員に当たる、「電車に遅れる、さっさとしろ」と怒鳴る、日本人でないとわかったとたんに横柄になる……。リンさんがいちばんイヤだと感じたのは、商品をレジの台にポイッと投げる客だ。

「ゴミじゃないですよね。投げたあとはスマホ見てるだけ。どうしてそんな態度なのか、私がなにかしましたかって、アルバイトはアルバイトですけど、ちゃんと働いているって、いつも思ってました」

飲食店のバイトも掛け持ち

ふたりとも飲食店でのアルバイトも経験している。リンさんはつけ麺の店だ。日本語学校を卒業し、優秀な成績で都内の大学に進学してからのこと。

「大学の先輩が教えてくれたんですが、ホールのお仕事でした。日本人の若い人たちと働くのは本当に楽しかった。みんなから『タメ口』を教えてもらったり。いまでもLINEで連絡を取ってます」

ハさんはデザイン系の専門学校に進学したが、これまでに4つの飲食店で働いてきたそうな。

「お寿司屋、ベトナムのフォー専門店、それとタピオカ、韓国料理の店です」

タピオカ屋と韓国料理店はどちらも新大久保。社長は韓国人で、アルバイトは日本人だったりベトナム人だったり。コミュニケーションはもちろん日本語だ。厨房ではネパール人コックが腕を振るい韓国料理をつくっているレストランも多い。新大久保とはそういう街なのである。

こうしたアルバイトは日本語学校のほか、ベトナム人の先輩や友人からの紹介で探すが、ふたりはアプリも駆使している。日本人が使っているものと同じ、人材会社のものだ。アプリに登録し、興味のある仕事で「外国人OK」の案件を見つけるのだ。そして会社に連絡を取り、面接に行く。このすべてを、もちろん日本語でこなす。

ふたりの語学力や人柄あってこそいろんなアルバイトに受かるのだと思うが、加えていま日本は少子高齢化による人手不足が深刻だ。外国人に、それも留学生にすら頼らなければ、成り立たない産業、企業がたくさんある。

「いろんなアルバイトをして、いろんな経験をしました。学校で勉強できないことをたくさん、アルバイトで学びました。それがいちばん良かったなあって思うんですね」

リンさんはほとんど日本人のように、そうしみじみとつぶやいた。

バイトに勉学に忙しい彼女たちだが、休日はどのように過ごしているのか。後編「もっと働けたら」ベトナム人留学生が漏らす本音では、日本各地で取り組む”ある活動”や、それぞれのシェアハウスなどの住宅事情について聞いた。

室橋 裕和 ライター

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むろはし ひろかず / Hirokazu Murohashi

1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年に渡りタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。主な著書は『ルポ新大久保』(辰巳出版)、『日本の異国』(晶文社)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書)、『バンコクドリーム Gダイアリー編集部青春記』(イーストプレス)、『海外暮らし最強ナビ・アジア編』(辰巳出版)など。

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