夫の急な転勤でも妻は「テレワーク」で働ける 地方で会社員時代の経験を生かす働き方

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徳島市から車で1時間ほどの山間にある、人口6000人弱の神山町にサテライトオフィスを構えるのがソノリテ。代表の江崎礼子氏がここにサテライトオフィスを開設したのは、知人の提案がきっかけだった。

外観は古民家、中はオフィスとなっている

もともとNPO向けのオンライン募金システムの開発・提供をメイン事業としていた同社は、顧客の要望を受けて電話応対、事務作業、発送などの代行も手掛けるようになった。当初はそれらを東京の事務所で行っていたが、家賃を始めあらゆるものが高コストの東京では、なかなか成り立ちにくい。事業に意義を感じつつも「もう止めようか」と考えていたときに、「神山でやってみたら」と言われたそうだ。

待機児童問題はない

神山町は、IT系の企業がたくさんのサテライトオフィスを開設しており、全国的にも注目を浴びている。しかし、地元の人材を雇用したのは2012年5月にサテライトオフィスを開設したソノリテが初めて。パートタイムや農業との兼業者も含め、現在は5〜6名が働いているが、みな結婚を機に神山町にやってきた女性たちで、企業勤めなどの社会人経験がある。

兵庫県出身の一宮香織さん(30代)は、結婚当初は徳島市内に暮らし、もともと神山町に戻るつもりだった夫と一緒に6年前に移り住んだ。現在は夫と3人の子ども(6歳、3歳、1歳)、義母、義妹と一緒に暮らしている。

ソノリテで働き始めたのは2年前で、昨年夏からは第3子の産休・育休に入り、今年6月に末の子を伴って勤務を再開した。

「神山町の保育園は待機児童問題がなくていつでも入りやすいので、子どもが1歳になる9月から預けようと考えていました。ただ、8月までの間も子どもの面倒を見つつ、ちょっと働きたいなという気持ちもあって、周りの理解と協力を得ながら子どもと一緒に不定期で、短時間働かせてもらっていました。保育園の『慣らし保育』期間が終わる10月からは、9時から17時までのフルタイムで働く予定です」

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