「5キロ2000円」の政府備蓄米に消費者は本当に飛び付くのか、ソッポ向かれても人気化して買いだめされてもコメ価格は高止まりしかねない
5月26日、小泉進次郎農林水産大臣は「備蓄米を5キロ2000円で店頭に出す」と宣言した。このプランを実現する切り札として用意したのが、備蓄米をオークション方式ではなく、流通業者に随意契約で放出する新しい販売方法だ。
今回、価格引き下げを確実にするための仕組みは実にシンプルである。
第1に、政府は利益を出さない。放出する備蓄米は2022年(令和4)産が20万トン、2021年(令和3年)産が10万トン。売り渡し価格は2022年産を60キロあたり1万1010円、2021年産を1万0080円で固定する(価格はいずれも税別)。そのうえで国が提示した販売価格(2000円)での販売を求める。。
第2に取引先を年間1万トン以上のコメを扱う小売業者に絞ることで、素早く店頭へ並ぶことを目指す。毎日先着順で受付・契約・販売していく。
第3に、政府が輸送費を負担して8月末までに売り切ることができる数量だけを契約させる。
放出される玄米の原価は5キロあたりで計算すると892円。農水省の試算では、精米費用や店頭マージンを足しても税込2160円程度の価格が実現できる見込みという。
「買い戻し条項」を外した
さらにこれまでの放出では、備蓄米を放出しても同量を翌年度に買い戻して備蓄米を補充する「ローリング在庫」だったが、今回は買い戻し条項を外した。つまり、長期的にもコメが市場に流れ込む量は30万トンが純増することになるため、需給面での安定化を狙うことができる。
農水省では5月26日に受け付けを開始。大手スーパー、ディスカウントストア、ドラッグストア、通販事業者などが次々に手をあげた。
外食大手のゼンショーホールディングスが名を連ねているため、すき家などで使うのかと勘違いしている読者もいるかもしれないが、今回の随意契約は小売り販売することが条件。ゼンショーは傘下のゼンショーライスで精米したうえでマルヤ、マルエイ、フジマートなど傘下のスーパーマーケットで販売する予定だ。
6月上旬には多くの店で5キロ2000円前後の価格で白米が並ぶはずだ。ファミリーマートのように、小分けをして1キロ400円での販売を宣言しているチェーンもある。
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