一大ブーム「せいろ蒸し」実は高カロリーだった→蒸せば脂が落ちるという思い込みがダイエットを邪魔している

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そして、蒸気で脂を落とす蒸し肉はというと、なんと、わずか1%カット。調理前とほとんど変わっていないのです。

なぜ、こんなことが起きるのかというと、茹でたり、蒸したりしても、肉の周囲の温度が100℃を超えないのに対し、鉄板焼きは200℃前後、直火焼きでは230〜290℃まで上がるからです。

温度が高ければ高いほど、脂が溶けて外に出やすくなります。

蒸し肉より鉄板焼きのほうが、食べたときにしつこく感じるのは、脂が肉の表面まで出てきているからでしょう。

魚も同じで、蒸し魚、煮魚、焼き魚であれば、焼き魚が一番多く脂が落ちます。

魚の脂だけは摂取しないともったいない

さて、脂を減らせるのは嬉しいのですが、脂は脂でも、あまり落としたくない脂があります。

それは、魚に含まれる脂であるEPAとDHAです。

EPAは中性脂肪の合成を抑え、その分解を促すことで体内の中性脂肪を減らします。また、血の塊ができるのを防いで、心臓の血管を詰まりにくくする働きもあります。

そしてDHAは、中性脂肪だけでなく悪玉コレステロール(LDL)も減らします。

どちらも中性脂肪を減らすため、脂肪がつきにくくなるわけです。

サンマのEPAとDHAが、調理法によってどれだけ失われるかを比較した研究が日本で実施され、2016年に結果が公表されています。

この実験では、サンマを丸ごと1尾使って、グリル焼き、フライパン焼き、素揚げにしました。

すると、EPAとDHAが残っていた割合は、グリル焼きでは、それぞれ92%と87%、フライパン焼きでは80%と85%、素揚げでは51%と58%でした。

揚げると、EPAもDHAも、ほぼ半分まで減ってしまうのです。

魚はフライにしても、竜田揚げにしても、南蛮漬けにしてもおいしいものですが、EPAとDHAをしっかり摂取したいなら、揚げるのは避けたほうがよさそうです。

奥田 昌子 医学博士/内科医

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おくだ まさこ / Masako Okuda

京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察/診療にあたる。航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『これをやめれば痩せられる』(東洋経済新報社)、『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)などがある。

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