国鉄・JRローカル線の顔「キハ40系」気動車の記憶 北海道から九州まで「旅情」感じる懐かしの姿

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そのころ、筆者は『ケイブンシャの大百科』シリーズや国鉄全線を紹介する書籍を複数手がけ、何度も全国の国鉄路線を取材して回っていた。ゆえにキハ40系が走った路線ほぼ全てを撮影している。

だが、新型気動車だったキハ40系の当時の印象はというと、実は「とくに印象に残っていない」というのが正直なところだ。当時はあくまで全路線を撮影することが重要な仕事で、キハ40系の撮影が目的ではなかった。塗装もそれまでの国鉄気動車のツートンカラーから、俗にいう「タラコ色」の朱色一色となり、クリームと赤の塗り分け塗装が好きだった筆者には国鉄が塗装の手を抜いたようにも見えた。

山陰本線保津峡 旧線 キハ40
山陰本線旧線の保津峡駅に停車するキハ40系の列車(撮影:南正時)
【写真】国鉄末期に廃止された各線でも活躍したキハ40形。北海道の白糠線や、駅名が観光客の人気を集めた広尾線の幸福駅に停車する姿

全国津々浦々を走ったキハ40系

では、なぜ全国のほぼ全線を撮っているかといえば、各地のローカル線取材でやってくる列車にカメラを向けると、それがキハ40系だったからだ。逆に言えば、それだけ全国津々浦々を走っていた車両ともいえる。

それだけに、キハ40系が写っている写真を改めて見てみると、風景を絡めてロングショットで撮っているケースが多い。車両主体でなく、路線の雰囲気を捉えたカットを狙っていたためだ。各地のローカル線の風景に溶け込んで走る姿を見るうちに、キハ40系は「その辺を走っている気動車」から、次第に親しみを感じる存在となっていった。

羽幌線 キハ40
国鉄羽幌線(廃線)の力昼駅に停まる列車。キハ40形2両とキハ56形の3両編成だ(撮影:南正時)
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