金利上昇で貯蓄型保険が魅力に ≪積立保険、変額保険…≫7つのタイプのメリットを一挙に比較解説
もうひとつ、生命保険の保険料を払い込んだ年には、所得の一部を控除できる生命保険料控除や個人年金保険料控除を適用できるメリットもあります。
積立保険、養老保険、終身保険などはまとめて「一般の生命保険料控除」として保険料を合算しますが、条件を満たす個人年金保険は「個人年金保険料控除」として単独で適用できます。現在の制度では、それぞれ、所得税で年間8万円まで、住民税で年間5.6万円までの保険料が対象になります。そして、所得税ではそれぞれ最大4万円、住民税では最大2.8万円を所得から控除できます。
一般の生命保険料控除は掛け捨て型の生命保険も対象になるので、すでに契約している保険があれば貯蓄型の生命保険に契約しても新たな軽減にはならないかもしれませんが、これから加入する場合には税軽減につながります。保険金などを受け取る前にも税制優遇があるのは、預金にない強みです。
インフレにはそれほど強くない
基本的には契約時に将来の受取額が確定している貯蓄型の生命保険は、安定性の高い資産形成手法といわれます。しかし、インフレに弱いという注意点もあります。利益の目安となる受取率は払い込んだ保険料に対していくら戻ってくるかを表しますが、ここでは「いつ」受け取るかは考慮されていないためです。
受取率が100%以上であれば確かにお金は増えますが、受け取るのが1年後なのか、10年後なのか、20年後なのかによってその意味は違います。今後もインフレが続けば、受取率が100%以上でも実質的なお金の価値は目減りしてしまうリスクがあります。
「元本割れリスクゼロ」を売りにする商品もありますが、それはあくまで現在の貨幣価値においてマイナスにならないにすぎません。受取率を見るときも、105%、110%といった数字だけに目が行きがちですが、それはいつ受け取れるのか、その頃の物価はどうなっているかなど、将来の経済状況を意識しておくことが重要です。
この点、株式などでの運用が可能な変額保険や高金利通貨で積み立てる外貨建て保険はインフレに比較的強いといえますが、運用実績や為替しだいで受取額が変動するリスクがあります。運用実績が好調であればお金を増やす期待ができるものの、NISAで利用できる株式や投資信託などに比べてコストは割高で、運用効率が見劣りする面もあります。
商品のしくみが円建ての積立保険や終身保険などに比べて複雑なため、理解が十分にないままに契約し、元本割れしてしまった、思ったよりも受取額が少なかったなど、のちにトラブルにつながるケースも少なくありません。
また、一部を除き多くの貯蓄型保険は短期間の解約では元本割れします。満期など、予定した受取時までは引き出さないことを前提に、無理のない積立額を設定することが大切です。そのうえで、預貯金やNISAなどほかの方法を組み合わせることで、ライフプランに合った資産形成を進められるのではないでしょうか。
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