自分の好奇心を総動員する「傾聴」の思考法。ビジネス上の会話をより深めるためのヒント

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「整理」の思考

難しい内容をわかりやすく話せるのは、物事の本質を理解できているからだ。反対に、どれだけ話し方に注意しても、本質を理解していないとわかりやすく伝えることはできない。理解の深さは会話のうえで重要な要素だが、そのために必要なのが「整理」の思考だ。

というのは、何かを理解するためには、物事から違うものを分け、同じものをまとめる作業が生じるからだ。価値の高い商品とそうでない商品を素人が見ても違いは理解できないが、専門家は正しい評価を下すことができる。両者の区別がつき整理できるからであり、理解まで落とし込んでいるからだ。理解の深度は整理で決まり、それがわかりやすい会話となる。

結論から話せることも、会話のわかりやすさを左右する。結論とは相手が最も知りたい話であり、結論から話すことで相手の聴くスイッチが入り、自分の言葉に注意を向けてくれる。そのためには相手が聴きたい情報を事前に収集・整理しておくのが有効であり、会話中の質問から類推して結論を導くこともできる。それでも見当がつかないなら、求めている結論が何か相手に尋ねてみる。結論を知ることで話を整理でき、相手もわかりやすく話せるようになる。

「事実」と「意見」を分けるのもポイントだ。事実とは証明可能な客観的な事柄であり、意見は証明できない主観的な事柄である感想から出発し、他者でも納得できるような根拠を持ち合わせたもののこと。相手が事実を求めている場面で意見を述べると事実確認に時間を要し、意見を事実のように話すと思い込みの強い人と思われる。両者を整理しないで話すと信頼を損なうおそれがある。

相手の求めていることを知り、刺さる話をするためには「ちゃんと聴く」ことが必要だ。相づちを打つとか、相手の言葉を繰り返すことではない。本質は「相手を理解するためよく聴くこと」であり、これが「傾聴」の思考法だ。

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