寝返りできる?日本初「寝台夜行バス」の乗り心地 ベッドから這い出るときはリンボーダンス
バスの車内に入ると、まず想像以上の狭さに驚いた。3列独立シートの間に設けられた通路の幅は筆者の肩幅より狭い40cmほどしかなく、普通に歩くと肩がシートを支える柱に当たった。このため車内では横向きにならなければうまく移動ができなかった。
筆者が指定を受けたのは進行方向右側の窓側席下段でシートはすでにフルフラット状態になっていたが、乗客がどんどん乗り込んでくる中で、高さが50cmほどしかない空間に身体を押し込むにはやや時間がかかりそうだったので、中列の前から2列目と3列目の間にあった退避スペースにいったん避難し、後方の乗客を通してから自席に戻ることにした。
そして、自席の前ではどのように身体を入れればよいか途方に暮れる。

完全に横になれる快適性は格別
シートの長さは内径が177.5cmで、その中ほどに傾斜のついた2本の柱がありその間の長さは約70cm。要は高さが50cm、横幅が70cmの平行四辺形の空間に、身体をくぐらせてシートに潜り込まなくてはいけないのである。しばらく考えた後、筆者の肩幅よりも狭い通路にいったん横たわり、まず足を片方ずつシートの中に押し込み、続いて上半身を浮かせてどうにかシートの中に身体を収めることができた。
筆者の上段席の方もシートに身体を収めるのに苦戦しているようだったので、話を聞いたところ、シートの真ん中に横向きの金属製のバーがあることから、そこに頭を入れるのが難しいということだった。この人は、首都圏在住の20代公務員ということで、有休を取ってモニター運行に参加。徳島駅前まで乗車するという。
なお、シート幅は48cmで転落防止用の2点式シートベルトを付けると寝返りを打つのも難しいほどのサイズではあったが、完全に横になれる快適性は格別で、通常の座席による夜行バスよりはかなりリラックスすることができた。身長180cmの筆者でも備え付けの枕を活用して頭を浮かせれば全身を伸ばすことができた。シートには車内Wi-Fiの案内があったもののコンセントや照明、小物入れなどの設備がなかった点については改善の余地があるように感じられた。
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