トヨタ、自動運転車の試乗で感じた「可能性」 市販化は2020年頃、コストや耐久性に課題
トヨタの自動運転車は2年前にも試乗している。当時は基本的に同一車線を走り、合流や分岐、車線変更ではドライバーが行ったが、今回は合流や分流、車線変更も自動で行えるまでに進化した。自動車に搭載された複数のセンサーとカメラが周囲の状況を認識し、高精度地図情報と照合しながら、最適な車線を選んで走行する。
自動運転では、メルセデスベンツやボルボが高速道路で半自動に近いシステムの搭載車両を発売済み。アウディや米GMは2017年に高速での自動運転を実現するとしている。
はたしてトヨタは遅れているのだろうか。「このレベル(高速道路での車線変更を含む)で信頼性ある自動運転を2020年ごろに実現すれば、十分に競争力があると思っている。この領域の競争は極めて激しいが、トヨタが劣っているという認識はない」。BR高度知能化運転支援開発室の鯉渕健室長は自信を示す。
一言で自動運転といっても性能や信頼性の差は大きい。すでに実用化されている自動ブレーキにしても、作動する条件や実際に止まれる速度はピンキリ。まして、商品化前の段階で技術の優劣を語るのはあまり意味がないのかもしれない。
トヨタは1990年代から自動運転を研究
一般に「トヨタは完全自動運転に積極的ではない」と見方がなされている。というのも、豊田章男社長や幹部が「あくまでドライバーが主権を持つ。車を操る楽しさと自動運転を両立させる」といった趣旨の発言を繰り返してきたからだ。こうした発言が完全自動=無人運転を目指すグーグルとの対比で、トヨタは自動運転に積極的ではないというイメージにつながっているのだが、決してそうではない。1990年代から自動運転技術の研究を開始し、日米で公道試験も繰り返している。「完全自動の研究開発も当然やっている」(トヨタ役員)。
完全自動や無人運転となれば、自動車メーカーだけでは実現できない。法制度の整備はもとより、社会的なコンセンサスも不可欠だからだ。責任ある立場で軽々しく「完全自動運転を目指す」と言えないというのが従来のトヨタの立場だった。
今回、トヨタは自動運転に対する自社の考え方を「モビリティ・チームメート・コンセプト」として打ち出した。車と人が同じ目的で、時に見守り、時に助け合う、仲間のような関係を築く――これもわかりやすいとは言い難いコンセプトだが、すべての人、高齢者や身体の不自由な方に移動の自由を提供するということを打ち出すことで、完全自動運転もターゲットにあることを示した。
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