トヨタ、自動運転車の試乗で感じた「可能性」 市販化は2020年頃、コストや耐久性に課題

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自動運転中のフロントディスプレー。周囲の状況を画面上に表示する

自動運転車に話を戻すと、今回試乗した限り、早々に市販化してもいいのではないか、という印象を受けた。この機能が手頃な価格なら是非購入したいとも思った。だが、市販化は2020年頃だという。まだ5年もかかるわけだ。

晴天のこの日の条件では、大きな問題はまず出ないようだ。雨天の実験も繰り返しており、「相当の大雨でなければ可能」(技術者)。ただし、大雪や霧については検証が足りないという。

市販化には課題が山積み

不安なシーンも残されているという。具体的には、移動先の車線に車両が多く車速の差が非常に大きい場合。移動先の車線が渋滞していてまったく譲ってくれない場合、などが挙げられる。

前者は、自動運転では法定速度を超過した走行ができない(技術的にではなく)ため、現実の車の流れに乗れないことが起こるためだ。後者のケースだと、手動ならばジリジリと幅寄せしながら強引にフロントを突っ込み、後にハザードを出して謝ればいいが、万全を期すべき自動運転では難しくなる。

商品化には、部品の信頼性やコスト削減も課題となる。今回の実験車両のセンサーなどは一部汎用品を使っている。自動車に要求される温度変化や振動、経年にも耐えられる信頼性は担保されていない。ユーザーに受け入れられる価格を実現するためにはコストや部品サイズもまだまだ引き下げていく必要がある。とはいえ、高速道路での自動運転の実現は手の届くところまで来たことは間違いなさそうだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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