自社営業部長と取引先役員が「経費水増し」した結果 大口顧客からの理不尽要求で”奴隷”にされかけ、憔悴しきった社長の決断は?
助けを求めてきた社長に「あなたほどの社長がどうして不正に気づかなかったのか」と聞いたところ、経営が好調であったために、最近は外部団体の仕事に割く時間が増えて、社内を見る時間が減ってしまっていたとのこと。まさに安定経営での慢心が招いた事態であり、社長に原因があったのです。
そんな状態の会社では、何かのきっかけでひとたび事業環境が変われば、坂道を転げるように業績が落ち込んでいきます。また、仮に事業環境上の大きな変化がなかったとしても、だんだんと組織が弱体化し、現場の活力が失われ、製品やサービスの質が悪化して顧客が去り、いずれ衰退の道を歩むことになる恐れが大きいでしょう。
短期計画が安定して達成されているだけではダメ
経営を続ける以上、絶対に「これで経営が完成した」などと思ってはなりません。どんなときでも常に、「今の姿は、単なる途中型」なのだと肝に銘じておくべきです。
そして、「今の姿が途中型」だと認識するためには、将来の夢や目標・ビジョンと、その夢やビジョンに向かう長期計画が必要です。夢を記した長期計画があれば、今はその頂上に向かう3合目にいるのか、4合目にいるのか、はっきりわかります。
事業計画は、①遠い将来にこうなりたいという夢やビジョンを描いた超長期計画、②そのために10年後にこうなっているという長期計画、③3~5年後の具体的な事業、組織の姿や業績目標を記した中期計画、④今期(期末なら来期)の業績目標を定めた短期計画が必要です。
夢を実現するためには、10年後にはこうなっている、そのために5年後、3年後にはこうなっている、そのために来期、今期はこう行動すると逆算思考で現状に落とし込んでいきます。したがって、年度単位の短期計画は、長期の夢に向かってどれだけ進んでいるかという観点から常に精査しなければなりません。仮に、短期計画が毎期安定して達成されているとしても、それが長期の夢の実現に沿っていなければ、十分な意義はありません。
夢から逆算して現状を捉えれば、短期目標が達成されていても、決して今で十分という気持ちにはならないはずです。まだまだ足りない、もっと伸びるはずだし、そのためにやることがいくらでもあるという、貪欲なまでに成長を求める気持ちを忘れてはいけません。それこそが、会社を守り育てるエネルギー源です。
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