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大塚商会、売上高1兆円突破の「次」なる道しるべ、創業家社長が「生産性へのこだわり」や「威勢よりも大事なこと」について激白

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大塚裕司/おおつか・ゆうじ 1954年生まれ。立教大学経済学部卒業後、1976年に横浜銀行入行。リコーを経て、1981年に父の創業した大塚商会に入社。一度は経営方針の対立から1990年に同社を離れるも、1992年に復帰。常務取締役などを経て、2001年から社長(写真:今井康一)
複合機やパソコンなどハードやソフト、保守、オフィス通販「たのめーる」まで、企業のIT需要に一貫対応できるサービスを提供している大塚商会。扱っている商品に派手さはないが、コツコツと業績を伸ばし続け、売上高はついに1兆円を突破した。背景にある徹底的な生産性へのこだわりについて、大塚裕司社長に聞いた。

――2024年12月期に売上高1兆円を突破しました。成長の原動力はどこにあると見ていますか。

当社の特色は生産性の高さだ。売上高が1兆円を超えても、従業員が1万人を下回っているというのは、(IT業界において)企業のひとつのあり方だ。

かつて(1990年代前半まで)の当社はいわゆる人海戦術が得意で、売上高と従業員数が連動していた時代があった。平成バブルの崩壊で、人を採用しても売り上げが伸びなくなり、業績が苦しくなった。

そこで、私が中心となって1993年に経営構造改革の「大戦略(大塚経営戦略)」に取り組んだ。ここでは生産性を上げるために、支店ごとにバラバラだった顧客情報を、営業から経理、サポートまで全社で一元化した。現在でもマスタデータは1本で動いており、今でいうDX(デジタルトランスフォーメーション)を先取りした。

その後、2001年に顧客管理と営業支援を一体化させた「SPR(セールス・プロセス・リエンジニアリング)」をスタートさせた。営業員などがこれを使うことで、高い成果が出せる、科学的な営業ツールだ。このような取り組みを進めたことで、社員数よりも売上高の増加が上回っている。

ストック系事業が収益を底上げ

――「営業が強い会社」というイメージがあります。

営業力も大事だが、社員数ではエンジニアのほうが多いし、売上高の半分ぐらいは「たのめーる」や保守など、ストック系が稼ぎ出している。

(2008年の)リーマン・ショックの時には、複合機やパソコンなどのハード系は前年に比べて6割、7割に落ち込んだが、ストック系は伸び続けていた。これが業績面での崩れにくさや安定的な成長につながっている。

――成長戦略として「オフィスまるごと」を掲げています。

当社は複合機の販売会社としてスタートしたが、現在はオフィスで必要とするほとんどの商品を取り扱っている。「オフィスまるごと」は顧客に、たくさんの商品を1度に購入してほしいということではなく、オフィスで何かをしようと思ったら、「大塚商会に頼めば何とかなる」という、パートナーでありたいという姿を指している。

とくに中小企業は取引額では2割ぐらいしかないが、社数では約8割を占めている。当社の原点は中小企業を支えることにあった。電気、ガス、水道といった公共インフラのように、大塚商会も世の中で必要な会社になりたい。これこそが当社の存在意義だ。

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