阿部寛、中井貴一、内野聖陽。今期"連ドラ"の主役にベテラン俳優が多い理由。若者のテレビ離れが指摘されているが…
同居するゲイカップルのほのぼのとした、時にほろ苦い日常を描いた作品で、西島秀俊とのW主演。内野が演じるのは、美容師のケンジこと矢吹賢二。人当たりも柔らかく、社交的。西島演じるパートナーのシロさんにぞっこんで、シロさんがちょっとでも女性と親しくしたりするとすぐに機嫌を損ねる。この役柄を魅力的に演じ、代表作になった。
内野聖陽は、徹底した役作りに定評がある。時間をかけて人物像を研究し、役を練り上げる。役柄の硬軟は重要ではない。そしていざ演じるときには、すさまじい集中力を発揮する。そういう意味では、「役者一筋」という形容がぴったりだ。
『PJ ~航空救難団~』で演じる宇佐美誠司は、航空自衛隊航空救難団の隊員を育てるスパルタ教官。ちょっと変わったところもあるが、厳しさのなかに優しさを秘めた役どころだ。設定上、過酷な訓練場面や人命救助場面などアクションシーンも多い。ここでも内野らしく、自分を追い込み、役作りの一環として体づくりをしたのが画面から伝わってくる。

作品としては、人命救助という仕事にまつわる人間ドラマがメイン。その部分に説得力を持たせるための体づくりでもあるだろう。宇佐美のストイックさが、鍛え上げられたシェイプに表現されている。
3人が体現する伝統と革新
このように3人のキャリアは三者三様だ。それなのに今期、そろって主役に起用された理由はどこにあるのか?
同じ1960年代生まれの俳優に真田広之もいる。1960年生まれ。ご存じのように、主演だけでなくプロデュースも務めたドラマ『SHOGUN 将軍』が昨年アメリカを中心に大ヒット。ゴールデングローブ賞などに輝き、一躍世界で注目される存在になった。
アメリカでの成功は画期的だが、そのコンテンツが時代劇だったことも忘れてはならない。真田広之は、外国人も見る作品だからこそ本格的な時代劇にしようと精魂を傾けた。
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