阿部寛、中井貴一、内野聖陽。今期"連ドラ"の主役にベテラン俳優が多い理由。若者のテレビ離れが指摘されているが…
まったく別の作品ではあるのだが、『ふぞろいの林檎たち』の仲手川の40年後の物語という見方もできる。当時共演した柳沢慎吾も第5話でゲスト出演した。脚本の岡田惠和も山田太一を敬愛してやまないひとりであり、このドラマも大人たちの青春群像劇と言っていい。
40年以上のキャリアを重ねた中井貴一の円熟した演技力も堪能できる。
中井と小泉の丁々発止の応酬が毎回見どころだが、あまりにやり取りが自然で演技であることを一瞬忘れそうになるほどだ。そしてふとした瞬間に、長倉は還暦を過ぎた男性の悲哀をにじませる。そのあたりの中井貴一のリアリティの醸し出しかたがまた絶妙だ。
昔から時代劇への出演も目立つ。
20代で大河ドラマ『武田信玄』(1988年放送)に主演。平均視聴率39.2%(世帯視聴率。関東地区。ビデオリサーチ調べ)という記録的な高視聴率をあげた。
その後も映画『壬生義士伝』(2003年公開)などに出演。近年では、シリーズ化もされた『雲霧仁左衛門』(NHK BSプレミアム、2013年放送開始)でのクールな盗賊の棟梁役が印象に残る。
中井貴一がいまや屈指の万能型俳優であることは明らかだろう。しかもバイプレーヤーとしてではなく、主演でこれほど役柄のバリエーションが豊かな俳優はあまり類を見ない。
徹底した役作りで惹きつける内野聖陽
1968年生まれで今年57歳になる内野聖陽は、文学座を経てテレビや映画に出演するようになった。それゆえ舞台への出演も多い。
内野には、寡黙だが仕事はできるといった硬派な役柄のイメージがある。
時代劇では、大河ドラマ『風林火山』(2007年放送)の主人公・山本勘助、『JIN-仁-』(TBSテレビ系、2009年放送開始)の坂本龍馬。
また現代劇の『ゴンゾウ 伝説の刑事』(テレビ朝日系、2008年放送)や『臨場』(テレビ朝日系、2009年放送開始)といった警察もの、『ブラックペアン』(TBSテレビ系、2018年放送開始)のような医療ものでもそうした役柄だった。
だがそんな固定観念を覆したと言えるのが、根強いファンも多い『きのう何食べた?』(テレビ東京系、2019年放送開始)である。
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