コメ高騰で利益は出しやすくなったが…農家はそれでも楽観できない苦しい事情
このような市況の変化を「稼げる農業」へとつなげていくためには、どのような視点が必要なのでしょうか。最も重要なのは、価格が高騰したこと以上に「コスト削減意識」であると言えます。長引いたデフレの中で、コストを下げる工夫をしてこなかった農家は今、経営が厳しい状況に直面しています。一方で、日ごろからコスト意識を持って経営してきた農家は、今回の高騰によって大きな利益を上げています。
このような変動を経て、「農家」から「経営者」への意識転換ができるかどうかが、今後の農業の成否を分けるカギとなるのです。
また、コメは他の農畜産物に比べて価格変動が少ない商品でもあるため、ブランド化や多角化といった手法以上に、信頼できる取引先との関係構築や、堅実な経営が重要です。価格が上がったからといって、安易に取引先を変更することは、むしろリスクとなりえます。
消費者としての賢い選択と支援のあり方
消費者の立場から見れば、急激な価格上昇には不安がつきものです。ただ、日本がすでにインフレ局面にある以上、コメの価格も今後は5kgあたり4000円前後で推移していくと見られています。
安く買いたい方は、量販店などでの購入が最もコストを抑えられます。一方で、価格よりも安心感を重視したい方は、農家からの直送や定期購入といった選択もいいでしょう。
農家から直接購入する場合は、送料や手間がかかる分安くはなりませんが、その分「安心」を手にすることができます。
また、「地元のコメを選ぶ」「産地直送を利用する」「定期購入を検討する」といった選択は、国内農業を支える行動にもつながります。
今後の米価については、2025年産は価格が大きくは下がりづらいので、下がるとしても2026年産からではないかと思います。
今回のコメ価格高騰は、多くの要因が偶然にも重なった結果であり、農業の大転換をもたらすものではありません。ただし、この変動を通じて「農業をどう持続可能な産業にしていくか」という問いが、農家にも消費者にも突きつけられました。問われているのは、今ある環境をどう捉え、どう次につなげるかという「経営」の視点です。米価の先行きとともに、私たち自身の食への向き合い方も試されているのかもしれません。
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