事実は映画よりも奇なり? 多くの日本人が知らない「新ローマ教皇」レオ14世(69)に託された先代からの"遺産"と"宿題"

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コンクラーベで新教皇に選ばれたレオ14世(写真:ブルームバーグ)
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ローマ・カトリック教会の次期教皇を選ぶ選挙(コンクラーベ)は5月8日、アメリカのシカゴ出身で、ペルーで司教を務めていたロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)を第267代教皇に選んだ。教皇名はレオ14世となる。

前教皇フランシスコは4月20日の復活祭でサン・ピエトロ広場に姿を見せた後に逝去した。イタリア政府の発表では、4月26日の葬儀には約40万人が世界から参列したという。ローマ・カトリック教会の内外で世界的に人気の高かったフランシスコの死のインパクトは、カトリック人口が極端に少ない日本でも大きく報じられた。

コンクラーベ前の10日間、世界中から集まった枢機卿は秘密会議に臨んだ。次期教皇がフランシスコの改革路線を継承する人物になるのか、改革を阻止する保守派の人物に委ねられるかが注目点とされた。

すべての通信手段を遮断したコンクラーベは、結果を待つ3万人を超える信者がサン・ピエトロ広場に集まる中、5月7日から始まった。教皇選出には4分の3以上の得票が必要と定められている。

大方の予想どおり、初日には決定を知らせる白煙がバチカンのシスティーナ礼拝堂の煙突から上がらなかったが、トランプ対策を考慮したとの憶測の流れる中、史上初のアメリカ人で、中道ながら改革路線を引き継ぐ人物であるレオ14世が選ばれた。

今回のコンクラーベは、過去になかったほどに社会との関係を考慮した選挙といわれた。

折しも世界では、ロシア・ウクライナ戦争の停戦協議が難航し、イスラエル軍による連日の激しい攻撃でパレスチナでは子どもを含む一般市民が命を落とし、アメリカのトランプ政権による関税政策で世界に不透明感が漂っているためだ。核戦争を含む第3次世界大戦が勃発する可能性が高まる中、新教皇レオ14世は初演説で「すべての人に平和を」と呼びかけた。

「民衆の教皇」はいかにして生まれたか

フランシスコ前教皇は、見捨てられた哀れな人々に寄り添う「民衆の教皇」と呼ばれた。危険を顧みず紛争地域を訪問し、抑圧される民衆の力になることに注力。亡くなる直前までガザに電話し続けていたことや、死後、教皇が使用していた白い特別仕様の車を改造してガザに送られたことが報じられている。

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