危機的状況のJR加古川線「観光路線」になれるか 赤字ローカル線だが大阪・関西万博に合わせ増発

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ただ乗ってみるとわかるのは景色の単調さが、加古川線の観光路線としての弱点だろう。播州平野が広がっているが、加古川から少し離れて走るため、たゆたう加古川の流れを眺める機会はあまりない。加古川が美しく見えそうな場所は、樹木が視界を遮っていたりする。

沿線でほぼ唯一の景勝地である「闘竜灘(とうりゅうなだ)」も、車窓からは見えない。確かに播州織は魅力的な観光コンテンツだが、西脇市の展示販売施設「播州織工房館」は西脇市駅から遠いので、道中にも楽しめる何かがあったほうがいいかもしれない。鉄道資源という観点では、廃線跡が必ずしも有効活用されていないのが残念だ。

闘竜灘
加東市には加古川線沿線で数少ない景勝地の闘竜灘がある(筆者撮影)
【写真をすべて見る】意外に知らないJR加古川線の沿線。私鉄と第三セクターの2路線が乗り入れる“ターミナル”あれば、「日本のへそ」を名乗るまちも……大阪・関西万博の開催期間中、万博と同様に加古川線も集客の状況が気がかりだ

現時点では決め手を欠く

JR西日本は鉄道側の施策として、赤字ローカル線では異例の列車増発に加え、加古川―谷川の加古川線全線が1日乗り放題になる「ぶらり加古川線 tabiwa 1Day パス」を、同社アプリを通じて発売。地方交通線で運賃が割高なうえ、何度か乗り降りすることを考えると1200円は元の取りやすい価格といえるだろう。

今後、どういった形で加古川線の維持に取り組むのか兵庫県に聞くと、「沿線各市や地域住民と相談しながら、利用促進の取り組みを通じて加古川線の維持や活性化につなげていきたい」(土木部交通政策課)という答えが返ってきた。

現時点では決め手を欠くのが実情のようだ。JR西日本が加古川線を利用しやすくしている10月13日までの間に、観光路線として乗客数を増やすことはできるだろうか。

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山本 学 神戸経済ニュース編集長

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Manabu Yamamoto

1999年に金融情報サービスのQUICK入社。グループの日本経済新聞社や日経QUICKニュースで株、為替、債券、短期市場や企業ニュースなど市場周辺の担当記者だった。2018年に独立してニュースサイト「神戸経済ニュース」を運営開始。神戸市の企業や、兵庫・神戸の経済動向をカバーする。何かと騒がしい兵庫県庁も取材対象だ。

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