「逃げ癖がつく」「情弱ビジネス」との声もあるが…。新卒利用が急増の「退職代行」。ブラック企業と裁判した男性が”違和感”を覚える箇所
退職代行モームリによると、同社のサービスを利用した約3万人の利用者のうち、同じ会社への連絡は約2700社あったそうだ。最も退職代行を利用された企業は人材派遣会社で、1社だけで100回以上(つまり100名以上)の連絡を入れたらしい。
その他、コンビニチェーンや運送会社、看護関連企業で利用率が高いそうだ。上位10社にランクインする企業はすべて大企業(従業員数1500名以上)で、それぞれ40回以上も退職代行を利用されていた。
ただし、である。私は、退職代行ビジネスを利用する人を、どんな場合であっても後押ししたり、擁護する気持ちもない。退職代行を擁護する人の中には、この「ブラック企業問題」を前面に押し出しすぎている感が否めず、私はここに大きな違和感を抱いているからだ。
退職代行の利用者「2・6・2の法則」
退職代行モームリ・谷本社長によると、退職代行を使う人には「2・6・2の法則」があるそうだ。具体的には労働者側に疑問のある退職が20%。労使間のスレ違いによる退職が60%。使用者側に非のある(つまりブラック企業が原因の)退職が20%を占めているらしい。
これは視点を変えると、利用者の約80%はブラック企業ではなく、普通の企業で働いている可能性が高いということ。GWが明けた今このタイミングで、退職代行を使って会社を辞める必要性、緊急性がどこまであるのか……。
入社1カ月弱という短い期間で仕事を、上司を、会社を理解できるとは到底思えない。退職代行利用者に対して、2回のクビを経験した社会不適合者の私でさえ、モヤモヤ感が募っている。一般の社会人の方であればより強い危機感、やるせない気持ちを抱いているはずだ。
このような社会人の先輩たちの「想い」が、ここ最近肌で感じられる「退職代行はいかがなものか」といった強い風当たりとなって、今表れているのではないか。

私は決して「退職代行を使って辞めることは悪だ」と言いたいわけではない。私が訴えたいのは、退職代行は「人間(若者)の心の弱い部分」を露呈、誘発してしまう恐れがあるのではないかということだ。その証拠として、80%の割合で普通の企業に勤めているはずの新卒利用者が後を絶たないのではないか。
もしそうであるなら、退職代行は使い方によって毒にもなるし薬にもなるのではないか……。
やや説教臭くなってしまったが、どうやって「人生のケジメ」をつけるべきかについて、誰もがいつかは考えるタイミングが来る。
もしも令和の企業戦士たちが「退職代行を使ったのは自分の弱さから逃げたのではなく、自分と正面から向き合い、戦ったうえでの判断だ」と胸を張って言い切れるのであれば、今年で35歳になる訴訟経験者の私は、その選択を全力で応援したいと思っている。
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