月1400円で10GB+50マイル、JALモバイルが見せた"航空会社も利用者もおいしい"見事な「マイルの出口」戦略の裏側
5月に発表した2025年度の業績予想では、同等の事業構成にあたる「マイル/金融・コマース」のEBIT見通しを510億円と発表。2019年比で利益倍増という中期計画の目標を射程圏に収めた格好だ。
順調に拡大するJAL経済圏。その表裏一体で浮かび上がるのが“マイルの使い道”という課題だ。
JAL経済圏の拡大と引き換えに、2024年度には航空事業以外でのマイル発行数がわずか1年で11%も増加。今後も経済圏の拡大に伴い、マイル発行数は増えていくと考えられる。
マイルが貯まりやすいことが最大の魅力のJAL経済圏で、発行マイル数が増えていくことは一見いいことのように思える。ただ、航空会社にとってマイルを“貯めさせる”のは簡単でも、“使わせる”ことは別問題といえる。
「マイルをどこで使わせるか」が焦点に
過去には「空席で飛ばすよりも特典航空券の利用者に乗ってもらったほうがいい」という考えもあったが、現在では需要予測の精緻化が進んだことにより、需要に応じて価格が変動するダイナミックプライシングでの販売が浸透。有償で売れる可能性のある座席を、無償の特典航空券で提供するわけにはいかない──。それが経営側の本音となっているのだ。
そうした背景もあり、JALは特典航空券でも需要に応じて必要マイル数が変動するダイナミックプライシングを導入。無償利用であった場合でも「羽田ー新千歳」などのドル箱路線では日中には片道でも1万7000マイルを超えるなど、需要に応じたマイル数が必要になっている。
主力事業の航空事業を中心に考えれば、無償搭乗の特典航空券をできるだけ減らすことが最適解となる。しかし、マイルの“出口”がなければ、ユーザーが経済圏にとどまるインセンティブを失ってしまう。
つまり、マイレージ周辺事業を拡大しようとすればするほど、「どこで使わせるか」が焦点となるのだ。いわば、主力事業と成長事業の利益相反をいかに抑えるかがカギとなるわけだが、JALモバイルはそうした「使い道」の1つの選択肢にもなっている。
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