金価格の上昇局面ははすでに終了した?短期間で急上昇しただけに、今後は急落の可能性も

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ここへきて、ようなく米中両国が貿易交渉の席に着く可能性が高まってはいる。だが、交渉が始まったからといって、必ずお互いが納得できる内容の合意に至るとは限らない。

どちらかと言えば、「交渉がこれから始まる」という段階の方が市場の期待も高まりやすい。だが、いざ交渉が始まれば、お互いの対立点ばかりが目立つようになり、かえって市場の不安が助長されることもありうる。その際にはもちろん、金に対する安全資産としての需要も改めて強まることになる。やはり、状況次第では再び最高値を更新する展開となっても、何ら不思議ではないとみておいたほうがよいのではないか。

株価急落で投資家がパニックに陥れば、要注意

結局、今のような不透明な状態が続くなら、金相場はジワジワ上昇を続けるのだろうか。答えは恐らく「ノー」だろう。

4月に金価格が最高値をつけたのは、あくまでも金が安全資産として、逃避資金の受け皿になっていることが前提となっている。株式市場が乱高下を繰り返し、投機資金が行き場を求めてさまよい続けている間はいいかもしれない。だが、この先アメリカの景気が本格的に悪化、株式市場もそれを嫌気して 急速に下げ足を速めるシナリオになれば、金も売られる可能性があり、十分な注意が必要だ。

また、関税の影響だけにとどまらず、連邦政府支出の大幅な削減や不法移民の強制送還も、将来的に景気の足枷となる恐れが高い。

今後、関税の影響が深刻化してインフレ圧力が一段と強まり、FRBが物価の安定を優先させて追加利下げの先送りを続けるようなことになれば、「アメリカは年後半リセッション(景気後退)に陥る」との懸念も、いよいよ現実味を帯びてくることになるだろう。

そうした中で、現在は利下げ期待などから反発機運のあるアメリカの株価が再度急落するなど、投資家がパニックに陥ることがあれば、その場合は金といえども2008年のリーマンショックのときのように、「キャッシュイズキング」となり、一時的には現金化される恐れもある。そのときは、短期間による大幅な上昇で買われすぎ感があるだけに、下落のペースもかなりきついものとなるのではないか。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

松本 英毅 NY在住コモディティトレーダー

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まつもと えいき / Eiki Matsumoto

1963年生まれ。音楽家活動のあとアメリカでコモディティートレードの専門家として活動。2004年にコメンテーターとしての活動を開始。現在、「よそうかい.com」代表取締役としてプロ投資家を対象に情報発信中。NYを拠点にアメリカ市場を幅広くウォッチ、原油を中心としたコモディティー市場全般に対する造詣が深い。毎日NY市場が開く前に配信されるデイリーストラテジーレポートでは、推奨トレードのシミュレーションが好結果を残しており、2018年にはそれを基にした商品ファンドを立ち上げ、自らも運用に当たる。ツイッター (@yosoukai) のほか、YouTubeチャンネルでも毎日精力的に情報を配信している。

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