大和証券は独立を維持できるか、格下げ阻止へリストラ加速
リスク取る余裕消え“原点回帰”の縮小均衡
欧州でもデリバティブ業務は基本的にやめる予定で、株式引受業務からも撤退。プライムブローカレッジ(ヘッジファンド向けの貸株・金融)業務もやめた。
「デリバティブなど自己勘定でバランスシートを使う業務は、収益を上げるには手っ取り早いが、リスクも大きい。当社は十分な資本があるとはいえ、元来ブローカー。これからは証券会社としての“原点”に回帰していく」(小松氏)。デリバティブ業務などは、自らの格下げで採算が合わなくなった事情も大きい。
掲げる「目標」も変えていく。これまではアジア市場での株式売買仲介業務で世界5位以内、投資銀行業務で世界10位以内を目標としてきた。しかし、今後はランキングよりまず収益性。収支を無視してシェアを追う余裕はもうない。
これでアジアでの収支均衡は本当に達成できるのか。岩本信之副社長は「来期の黒字化はまだ見えない」とし、あと100人前後の削減も視野に入れる。欧州でも今期末には700人強まで3割近く減る予定(米州は350人程度でほぼ変わらず)だが、追加削減の可能性は大きい。「原点回帰」という名のリストラはまだまだ続きそうだ。
一方、国内では組織改革、配置転換を通じた増収策も進めている。持ち株会社と証券子会社2社で重複していた管理部門を集約しており、11年2月時点の2040人から12年度中に約1500人まで減らす計画。その結果浮いた人材をリテール営業や資産運用の現場へ配置転換している。もっとも、営業現場に不慣れな人材が多く、「まだ目立った成果は出ていない」(岩本副社長)。