【アニメ人気高まる中東】サウジアラビア発のエンタメ企業CEOが感じる「日本企業の課題点・可能性」とは?

――昨年は「グレンダイザーU」や「アサティール2 未来の昔ばなし」といったアニメの制/製作や配給、メディアミックス展開に注力しました。今年はどのような展開をしていきますか。
アニメの配給も引き続き行いますが、今年は特にリアルイベント、中でもリヤドシーズンへの作品の活用やビジネス展開に力を入れていきたいです。リヤドシーズンでは特に、昨今のeスポーツ・ワールドカップや「ドラゴンボール」テーマパークのような、サウジアラビア以外では体験できないものをいろいろと作りたいと思っています。
具体的な内容は解禁前ですが、現在もリヤドシーズンで展開する作品について動いていますので、もしかしたら今後、開催に合わせて日本でも発表を行うかもしれません。
――リアルイベントであれば、自社の作品を持つ企業だけでなくアニメグッズ等を扱う関連企業にもビジネスの機会がありそうです。一方で、アニメグッズには海賊版も多く、日本国外では手に入る種類も限られています。
正規のアニメグッズの販売は、今後リヤドシーズンなどでも行っていきたいと思っています。海賊版対策については、アニメグッズではありませんが、私が同じく代表を務めるマンガアラビアでのコミックスの販売が、海賊版サイト減少に貢献していると評価されています。日本の特許庁の模倣品撲滅運動に協力させていただいたこともあり、同庁から感謝状をもらいました。
中東では多くの人たちが海賊版ではなく正規の作品を求めていることが調査でもわかっています。そうした現地のファンの期待に応えるため、最近はフードデリバリーサービスのアプリを使って、料理と同じように気軽にコミックスを注文できるといった試みなども始めています。
――同じく著作権に関わる問題として、昨年から日本ではAIに関する議論が活発に行われています。サウジアラビアや中東におけるAIへの反応は、現状どのようなものになっていますか。
サウジアラビアは現在AIに対して国家レベルで様々な投資を行っており、我々マンガプロダクションズでも、特にローカライズにおいてAIを活用しています。ただ、気をつけなければいけないのはクリエイト作業におけるAIの活用です。自分たちの作品データのみで学習を行ったAIでないと著作権の問題が出てきますし、逆に自分たちの作品データが他に漏れてしまっていないかにも気をつけなければいけません。
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