【アニメ人気高まる中東】サウジアラビア発のエンタメ企業CEOが感じる「日本企業の課題点・可能性」とは?

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一方で、今後はAIとの共存なしにはビジネスの場で競争できないとも思っています。90年代にインターネットが普及し始めたころも様々な議論がありましたが、今ではインターネットはあって当然の世界です。同様に、今後はAIをどうするかではなく、いかにしてAIと共存できるかという世界になっていくと思います。

自分は今、WIPO(世界知的所有権機関)グローバル・アワードの審査員もやらせていただいているのですが、今後はそうした国連機関等とも協力して、AI問題や海賊版の問題もグローバルに対策していきたいです。

――サウジアラビアはハイテク産業の発展も目覚ましい印象があります。そうした技術を今後のアニメ展開に活かしていくことも考えていますか。

もちろんハイテク技術も活かしますが、その一方でAnimeJapanやリヤドシーズンといったリアルイベントでのアナログな体験も大切にしていきたいです。多くの会社は技術ばかりみていてつまらない、または芸術性ばかりみてテクノロジーを活かせていない。でもこれからの世界で成功するためには技術と想像力、両方ないとダメです。

だから我々は、最先端の技術を持っていても衣装はとても伝統的なものを着ています。自分たちの文化は誇りに思うし、世界に対してオープンだしどんどん新しい技術やノウハウを吸収して次に活かすという姿勢です。

実はこれも、私が日本で学んだ素晴らしいもののひとつでした。秋葉原のような最先端もあれば、京都や浅草のような伝統的なものも守られているのが、日本の素晴らしいところだと思います。

――日本企業とやりとりをする中で感じる可能性や課題点などはありますか。

可能性としては、まだまだ日本の作品が活躍できる場がサウジアラビアには沢山あるということです。今回AnimeJapanを通じて知り合った人達と、ぜひリヤドシーズン等で日本の作品を一緒に活用していきたいです。

一方で、日本の企業には沢山の可能性があるのに、国内に目を向けすぎるあまり多くのチャンスを逃しているところもあると思います。私の世代は子供のころから日本のアニメをみて育ってきたので、こうして大人になった今、日本のアニメを好きな人間が日本の会社とアニメビジネスをしています。

しかし最近のデータでは、残念ながらサウジの子供たちは日本のアニメよりもアメリカのカートゥーンなどをみることが多くなりました。それは深夜アニメが多くなり、子供をターゲットにした作品が昔ほど多くないからです。日本の少子化による影響もあるとは思いますし、もちろん深夜アニメが悪いというわけではないですが、未来のアニメファンになる世界の子供たちに向けた長期的な視点も、忘れてはいけないと思います。

――日本企業では、中東で作品展開をしたいと思っているものの、「正直なにからどうすればいいのか分からない」というケースも多いと思います。

中東で作品展開をするのなら、中東の企業と直接やりとりをした方がいいです。これまでも色々な企業とやりとりする中で、日本の企業は中東とビジネスをする際に、ヨーロッパや他のアジアの企業を経由しがちな点が問題となっていました。中間的な企業が入ることで予算は増えますし、ミスコミュニケーションが起きてプロジェクトが継続できなくなることもあるからです。直接やりとりをした方が予算も抑えられますし、事業の継続率もあがります。

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