台湾・民進党は「中国共産党」と同じ? 国民党など野党陣営が猛批判する国会議員リコール運動「大罷免」が起きた背景は
筆者が何のために集まっているのか疑問を持った今回の国民党による大規模集会は、朱立倫主席の演説でようやく方向が示されることになった。それは、頼清徳総統の罷免だ。
しかし、この目標に現実味はない。総統罷免投票に持ち込むには、立法委員3分の2の賛成が必要となる。113議席中、野党合わせて62議席の立法院で、立案できる可能性はほぼゼロだ。
総統罷免投票に持ち込めなければ、支持者は投票に参加できない。あれだけ多くの人を集めておきながら、集まった力の持って行きようがない。ある国民党関係者の友人は、国民党には戦略がない、と批判する。
台湾は荒れている、社会の亀裂が深まっている、という印象がますます強まっている。罷免運動の結果がどう転ぶにしろ、それで台湾内部の混乱が収束する可能性は低い。
日本人がやりがちな台湾への上から目線
日本の一部の人たちは、「民主・自由」という「共通の価値観」を持っていると、台湾を称賛する。しかし、それはここまで紹介してきたような台湾の「民主・自由」の現状を知ってのことだろうか。自分たちの価値観に合わせて、上から目線で台湾を見てはいないだろうか。
今の日本では、少しでも台湾で論争が起きている問題を紹介するだけで、国民党支持だとか、中国寄りだとか非難されることが多い。民進党を褒めなければ、台湾を侮辱している、つまりは「中共同路人」だということになる。
しかし、大切なのは、台湾の人たちがどこに向かおうとしているのかを真摯に理解すること、複雑な社会に生きる台湾の人たちが抱えている問題、苦悩、そして希望を、勝手な先入観や好悪を抜きに理解することだ。
それなしに本当の日台友好はありえないし、いわゆる「台湾有事」を理解することもできないのではないだろうか。
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