台湾・民進党は「中国共産党」と同じ? 国民党など野党陣営が猛批判する国会議員リコール運動「大罷免」が起きた背景は

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もし、民進党が差し引きで6議席を増やせば過半数を回復し、民進党主導で政治を進めることができる。しかし、そうでなければ少数与党の政権運営はさらに困難を増し、待ち構える2026年の統一地方選挙、2028年の総統選挙で圧倒的に不利となる。民進党にとっては大きな賭けだ。

先日、古くからの民進党支持者だというある年配男性と、リコールの話になった。彼がリコールを支持するのは、国民党と民衆党の立法院のリーダーの態度が悪いからだというのだ。

それが与野党の対立を激化させた。もっとソフトな態度の人物がリーダーだったら、このような騒動にはなっていなかったはずだ、という。また、国民党の立法院のリーダーは中国大陸を訪問しているが、国民党は共産党とつながっている、というのだ。

「政党リーダーの態度が悪い」

そこで、大罷免の原因となった予算案削減について、どこが問題なのか聞いてみた。ところが、削減された内容は覚えていない。いきなりゼロにされた予算項目があったが、あれは許せない、という。

でも、何の予算だったかは覚えていない。民進党に腐敗があることは認めるし、それは許せないが、とにかく野党の態度はもっと許せないのだという。

彼の言う、ゼロにされた予算というのは、台湾電力に対する1000億台湾ドル(約4550億円)の補助のことだと思われるが、これは原発政策をめぐって全廃を進める民進党政権の電力政策に対して、原発継続を主張する国民党が反対していることによる削減だ。

要するに、台湾の有権者の間では、政策に対する賛否よりも政党に対する支持が優先されていて、イメージだけが先行している。台湾では選挙の際も、政策より政党を選ぶ傾向が強く、まともな政策論争になったことがない。

民進党支持者の話だけ取り上げたが、野党支持者が理性的かというと、決してそうではない。非理性的な互いの嫌悪がぶつかり合って起きたのが、今回のリコール騒ぎだ。

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