台湾・民進党は「中国共産党」と同じ? 国民党など野党陣営が猛批判する国会議員リコール運動「大罷免」が起きた背景は
こうなると、与党の民進党が出す法案は通らない。しかし民進党は与野党折衝で妥協せず、野党と正面対立の姿勢を崩さなかった。そして、議長席を占拠して議事進行を止めるなど、まるで野党であるかのような手段で、多数決の投票を妨害しようとした。
与野党攻防の最大の焦点は、予算案だった。2025年度の台湾の政府総予算は、歳出が2兆9248億台湾ドル(約13兆円)で、野党主導で原案より6.6%削減されている。もっとも、削減幅は過去最高だが、予算規模自体は実は前年度より2.56%増加し、過去最高だ。
粗雑な野党・国民党の予算削減
しかし、民進党政権は削減ということにだけ焦点を当てて、野党を批判した。頼清徳総統は、「国家がガソリンのない車になってしまった」と述べ、予算削減で政府の運営がストップしてしまうと主張した。
予算削減については、内容を精査する必要があるが、多くがこれまでも論議があった内容だ。とくにメディア政策や政府宣伝に関する予算は、与党の立場が有利になるよう台湾内外に対する情報戦に使用されているとして、批判が多かった項目だ。

文化、芸術に対する補助の削減も同様の意味がある。また、日本でも知られるオードリー・タン氏が初代トップを務めたデジタル発展部(省庁に相当)も、機能不全として予算が削減された。
しかし、野党による削減内容はかなり粗雑だ。そのため、民進党に批判の口実を与えてしまっている。例えば、政府の記者会見の予算削減は、手話通訳すら雇えなくなったとして民進党に野党批判の材料にされた。
しかし、与野党の対立のため十分な議論が行われないまま、多数決で野党側の案が通ることになったわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら