台湾・民進党は「中国共産党」と同じ? 国民党など野党陣営が猛批判する国会議員リコール運動「大罷免」が起きた背景は
民主的な選挙で選ばれた議員を、数合わせのために有権者の25%でリコールすることへの疑問の声は強い。法律に則った作戦ではあるが、果たして民主主義の精神に合ったものなのだろうか。
ちなみに、リコール合戦の可否について、民進党系の台湾民意基金会による最新の世論調査では、民進党が発動した「大罷免」に対して「不賛成」は59.3%、「賛成」は33.8%で、「不賛成」の世論が優勢だ。(財団法人台湾民意基金会「国人対大罷免態度的新発展」2025年4月14日、中文)
さて、国民党の大規模集会の原因はこうした与野党の激しい対立だが、直接火を付けたのは、リコールの署名をめぐって起きた事件だ。
署名の際には身分証を提示しなければならいのが台湾のルールだが、国民党系の市民団体が提出した署名の中に、すでに亡くなった人の署名が含まれていたのだ。検察当局は、文書偽造の疑いで、国民党のいくつかの地方支部に捜査に入り、関係者の身柄を拘束した。
亡くなった人が署名しているということはこの種の署名運動では毎回見られるもので、民進党系が集めた署名の中にも見つかっているが、検察は国民党を狙い撃ちにした。これに怒った国民党が、大規模な抗議集会を発動したというわけだ。
国民党=親中国というイメージ
集会の話にもどろう。冒頭で紹介したように、テーマは「反緑共、戦独裁」だ。「反緑共」という民進党を中国共産党に擬したスローガンは、民進党のイメージ低下を狙ったものであることはわかる。しかし、日本で言われているのは、国民党は親中国ということだったのではないか。
国民党の宣伝部長の職を務めたことのある友人が、今、研究のために北京に滞在している。そこで彼に「反緑共」について質問したところ、「対岸(中国大陸)の友達たちは、この言葉を不快に思っている」という。
国民党の朱立倫主席は集会で、「(頼清徳総統は)共産党よりも共産党だ。ファシストよりファシストだ」「この独裁者は台湾で文化大革命を進めている。緑色の文革は、反対する人すべてを消滅させようとしている」と叫んだ。
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