中村王国にピリオド、パナソニック再起へ
歴史的低迷にあえぐパナソニックが経営陣の刷新を決めた。大坪文雄社長(66)は会長に就き、新社長には津賀一宏専務(55)が昇任する。
また中村邦夫会長(72)は、取締役を退任する。中村氏は「破壊と創造」を掲げて改革を断行し2002年に赤字に陥った業績をV字回復させた。大坪氏の社長就任後も会長として人事権を掌握し、12年に及ぶ長期政権を敷いてきた。今回の退任に合わせ、中村派の経営中枢も退陣。坂本俊弘副社長、森孝博副社長、森田研専務は顧問に退く。6月27日の株主総会で正式決定する。
薄型テレビ拡大路線のツケ、買収した三洋電機の価値の大幅な目減り……。00年代後半に進めた数々の投資の失敗で、12年3月期は過去最悪の7800億円の赤字となる見通しだ。本誌は1月28日号で、経営不振は中村・大坪体制の弊害によるものとして、両氏の経営責任を指摘した。
それでも中村氏と大坪氏は続投へ根回しを進めていた。2月初旬に各役員OBの自宅に両氏の直筆署名入りの手紙を送付。「来年度は必ず業績のV字回復を果たしてまいります」と理解を求めている。
ただ、その後“既定路線”の見直しを切り出したのは大坪氏だ。中村氏の元を訪れて退任の意向を伝え、中村氏もそれに応じたという。2月28日に開いた記者会見では、心境の変化の理由を明かさず、「赤字決算は申し訳ない」(大坪氏)と語るのみだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら