東武SL大樹、プロしか知らない「毎日運行」の裏側 転車台でファン獲得、24時間「火」は消さない
「お客さまから『一緒に写真撮ってください』とお声がけいただくことが多いのは、現場のモチベーションにつながっているように思います」と話すのは運輸科長の伊藤健一さん。
「地元のお子さんがイベントごとにきてくれて、それで親御さんやおじいちゃんおばあちゃんとも仲良くなっています」(伊藤運輸科長)

「撮り鉄好み」の煙の正体
ちなみに、SLが走るとなれば、写真を撮りたくなる鉄道ファンも少なくなかろう。実は、伊藤運輸科長もそのひとり。「東武の車両はなんでも好き」と言ってはばからない伊藤科長、SLの運行を担う立場になったいまでも折を見て撮影に足を運んでいるという。
「撮り鉄としては黒い煙を上げて走ってもらいたいんです。でも、だいたいは透明な煙で、運転がうまいなと思いつつ、残念だなと」(伊藤運輸科長)
そんな撮り鉄共通のホンネに対し、眞壁機関区長は言う。
「黒い煙が出ているということは、不完全燃焼なんです。愛好家の方へのサービスで、ここは黒い煙を出さないとというスポットもありますが、もちろん完全燃焼のほうがいいんです」(眞壁機関区長)
不完全燃焼だと煙管にススが溜まるなど、車体にも負荷がかかる。出力を上げる登坂区間でも、黒い煙が出るのは最初の一瞬だけなのが実は腕のいい機関士の証し。ただ、とくに気温の高い夏場は蜃気楼のようにしか見えず、写真映えがしなくなるというわけだ。
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