「脳死マシーン」「臓器摘出バス」…中国の“臓器移植”の実態。中国で死刑囚の“まだ生きている遺体”から臓器移植した医師の後悔も

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現在はインターネットの普及もあり、患者個人が斡旋組織と直接、接触するケースが増えてきた。また2008年のイスタンブール宣言以降は、医師側も斡旋組織への患者紹介を控えるようになった。

新鮮な臓器を摘出できる、中国の「脳死マシーン」

中国は、ウイグル族を犠牲にしながら臓器移植技術を向上させてきた。「大紀元」(中国から脱出した反共産党の人たちが作ったアメリカに拠点を置くメディア)は、中国が死刑囚を脳死にする機械を作った、と報道している。大紀元は日本語版も発行されている。

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「中国は2000年代、人を意図的に脳死させる『脳死マシーン』を開発した。側頭部を打撃することで脳幹を停止させ、人を瞬く間に脳死にさせるこの機械は、2012年2月に重慶の米国領事館に逃亡した法医学者で重慶公安部長だった王立軍(現在、服役中)が考案したもの」(「大紀元」佐渡道世 2019年1月10日)

中国の死刑は、1997年から「銃殺または注射等」と定められている。だが、銃殺あるいは薬物による刑の執行をしていては、移植用の臓器として使えなくなる。そのために死刑執行の手段として「脳死マシーン」が開発されたのかもしれない。

移植は、心停止した死体からの臓器よりも、脳死ドナーから摘出した臓器のほうが、生着率が高くなる。

さらに脳死の臓器よりも生体から摘出した臓器を、阻血時間(移植臓器に血流が再開されるまでの時間)を可能な限り短縮してレシピエントに移植したほうが、生着率、生存率が高くなる。

これは想像でしかないが、わざわざ脳死にする必要はなく、おそらく生きたまま臓器は摘出(生体腎移植と同様に摘出)されているのだろう。私と同じように考える日本の移植医もいる。しかし、そのためには、臓器摘出チームと優れた麻酔科医が必要になる。

そうした手間を省くために脳死マシーンが使われているのかもしれない。脳死状態で臓器を摘出し保存液に浸せば、現在では遠隔地への移動も可能だ。

臓器摘出の手術施設を備えたバスも確認されている。

このようにして死刑囚から摘出された臓器が日本人患者を含む外国人患者に移植されてきた。

高橋 幸春 ノンフィクション作家、小説家

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たかはし ゆきはる / Yukiharu Takahashi

1950年、埼玉県生まれ。早稲田大学を卒業後、ブラジルへ移住。1975年から3年間、サンパウロで発行されている邦字新聞「パウリスタ新聞」(現・ブラジル日報)の記者を務める。帰国後、高橋幸春のペンネームでノンフィクションを執筆。2000年からは麻野涼名義で小説も手がける。ノンフィクションに『カリブ海の「楽園」』(潮ノンフィクション賞受賞)、『蒼氓の大地』(講談社ノンフィクション賞受賞)、小説に『天皇の船』(江戸川乱歩賞候補「大河の殺意」を改題)、『国籍不明』(大藪春彦賞候補)、ドラマ化された『死の臓器』などがある

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