トランプ政権の「ロシア寄り」ウクライナ和平案の背後にいるキーパーソンたち、周辺にうごめく側近・特使たちの素顔

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このサイト上では、捕虜となったウクライナ人兵士らがロシア兵士の前にひざまずかされ「ロシアの一部であるウクライナ」と絶叫させられている映像がアップされている。

このため、ウクライナからはジェノサイド(大量虐殺)を呼び掛けたとして、暗殺リストに入れられたといわれる。2022年8月、ドゥーギン氏の娘がモスクワ郊外でドゥーギン氏の自家用車の爆発で死亡した。

この事件は、元々、ドゥーギン氏を狙ったものだったが、手違いで一緒にいた娘が亡くなったと言われている。ウクライナ保安局(SBU)が計画し、実行したといわれる。

今回、トランプ氏は和平案として、不法に占領されたままのクリミアの法的領有権をウクライナからロシアへ正式に割譲することや、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念などを提案した。いずれの提案もプーチン政権の中核的主張に沿ったものだ。

ビジネス上の権益というつながり

こうした露骨なロシア寄り提案の背景には、これまで述べてきたようなドゥーギン氏を媒介とし、リベラル的価値観を否定するプーチン政権とトランプ政権の同質化の動きがあると言える。

ワシントンにはもう1人、ドゥーギン氏とトランプ政権との間で媒介の役割を担っている人物がいる。トランプ第1期政権で首席戦略官だったスティーブ・バノン氏だ。

2018年に戦略官を解任された直後、欧州でドゥーギン氏と会談したバノン氏は政治論を長時間議論し、ティール氏と同様にグローバリズム、人権や国際的機関への敵意で一致し、将来的な米ロの同盟関係への移行についても意見を交わしたという。

現在、バノン氏は政権内で正式な肩書を持っていないが、トランプ氏とは個人的な政治的盟友関係にある。最近話題になっているトランプ氏の将来的な3選問題にも取り組んでいる。

一方で、プーチン政権とトランプ政権の間には、反リベラル思想以外にも別の重要なつながりが形成された。ビジネス上の経済権益である。

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