「億万長者と闘う!」“イーロン・マスクと対決”バーニー・サンダース上院議員(83)≪異例の熱狂を生む3万6000人集会ルポ≫

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スピーチの最後には「あなたたちが共和党員でも民主党員でも無所属でも全く関係ない。億万長者が牛耳っている政治を我々に取り戻そう」と呼びかけた。

トランプ支持者はサンダースをどう見ている?

そんなサンダースの集会の全米での盛り上がりをトランプ支持者はどう見ているのか。

共和党員でロサンゼルス在住の個人投資家のDさんが匿名で取材に応じてくれた。Dさんは言う。

「国民皆保険、国が定める産休制度、労働組合に守られた職場。この3つはどんなに理想的で美しく見えようとも、社会主義の制度なんだよ。この制度を好む人間はソーシャリスト。しかしアメリカ人の大半は社会主義に支配される国なんて望んでない。だからこそトランプに投票する人が過半数を超えた。これは、ごくごく自然なことだと思うけど」

ちなみに、現時点で、国民皆保険と国が定める産休制度は、アメリカにはない。

60代のDさんの意見では「自分の親も自分もそうだけど、家族を養うために一生懸命働き、民間の医療保険を購入して家族の医療費を払ってきた。国の制度にぶら下がることなく生きていくことを可能にするのが資本主義であり自由競争。サンダースみたいに、無条件で全員をカバーしていたら国庫が破綻する。若い世代が老人世代を金銭的に支えなければならない年金制度も根本的におかしいし、いつか破綻してもおかしくない。それに備えて貯蓄しておくのが自分みたいな保守派の人間の考え方だ」。

一方、サンダースの集会に参加した前述のシャノンさんはこう言う。

「バーニーは『極左』とか『ソーシャリスト』とか『はみ出し者』と言われてきたけど、私は、彼が社会主義者と呼ばれるなら、社会主義者の何が悪いの?と思う。そして、バーニーが多数の群衆を赤い州でも青い州でも集めているってことは、彼はもう『はみ出し者』ではなくなりつつあるんじゃないかとも思う」。

その点をDさんに聞いてみると、彼はこう言った。

「まあ、赤い州でもジョージ・ソロスの影響を受けているリベラル人間はいるからね。でも、彼らが本気なら、とっくに国民皆保険がある国に移住してるんじゃないか? そうしていない時点で、本気じゃないんだよ」

ロサンゼルスの集会が終わって数時間後、サンダースは南カリフォルニアで行われたコーチェラ音楽祭の舞台の上に立ち「オリガルヒと闘う!」と声を上げていた。

ロサンゼルスの集会に参加した若者は「バーニー、一体いつ寝てるんだ? 83歳でこのエネルギー。20代の自分ですら集会の後に昼寝してたのに。あり得ない」と語っていた。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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