「億万長者と闘う!」“イーロン・マスクと対決”バーニー・サンダース上院議員(83)≪異例の熱狂を生む3万6000人集会ルポ≫

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ヘルナンデスさんの仕事は、PTSDで苦しむ元米軍兵士や重度うつ病患者たちの臨床心理セラピーをすることだが、病院側が彼女の予定に1日に8人~10人以上の患者の予約を入れるため、昼休憩が取れない。

「ランチを食べる時間がないから、スムージーを必ず常備して、流し込むように飲み、セラピー中にお腹が鳴らないようにしていた」と言う。

家族の中で初めての大卒者であり、大学院でソーシャルワーカーの資格を取得した彼女は、非正規労働者ではない。それでも大病院のミリオネア経営陣と闘う自分や、病院前でハンガーストライキをした同僚を「紛れもなく労働者階級」と断言する。

歌手のジョーン・バエズが壇上に上がり、3万6000人の大歓声を受けて「イマジン」を歌い出すと、最前列でそれを見ていた82歳のバーバラ・デ・アエノさんは「ベトナム反戦運動当時を思い出す」とつぶやいた。

ジョーン・バエズの熱唱に聞き入る3万6000人の観衆(筆者撮影)

1960年代に20代だったデ・アエノさんは、新生児を抱えてベトナム反戦運動に参加し、ジョーン・バエズと一緒に写真を撮った思い出がある。その写真がFBIファイルに記録されているのが自慢だという。

今回彼女は「メキシコ湾」と描かれたTシャツを着て来た。トランプ大統領が「アメリカ湾」と改名したことに対しての異議申し立てだ。

10代で公民権運動デモに参加した白人女性

その隣には72歳のシンディさんがいた。「私の名字は記事に載せないで。身の安全を確保したいから」と言いつつ、こう語る。「私も10代の頃に公民権運動のデモに参加した。当時、有色人種の友人たちが日常的に差別を受けていたから。そして今、DEIという用語で彼らの人権が再び制限されていくのを目撃している。まるで60年前に逆戻りしてしまったようで本当に怖い」。

デ・アエノさんとシンディさんはどちらも白人女性だ。ちなみに全米の白人女性のうち過半数の52%が先の大統領選でトランプに投票した。このことを聞くと、シンディさんは頷きながらこう言った。

「そういえば、最近日本に観光に行って、50年前に交換留学生としてアメリカに来た日本人の友人に何十年ぶりかに会ったら、彼女がトランプ支持者になっていた。トランプの肖像画の壁画まであって驚いた」

バーバラ・デ・アエノさん(左)とシンディさん(筆者撮影)
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