「億万長者と闘う!」“イーロン・マスクと対決”バーニー・サンダース上院議員(83)≪異例の熱狂を生む3万6000人集会ルポ≫

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サンダースはLA市庁舎前から地下鉄の駅までを埋め尽くした3万6000人の観衆をじっと眺めてこう問いかけた。

「ワーキングクラスの人間は金持ちと比べて、7年も早く死ぬという統計が出ている。それはなぜか?」

サンダースは続けた。「答えはストレスだ。毎月の家賃を払うことに追われ、車が壊れたら修理費に悩まされ、職場では理解のない上司にとんでもないシフトでさんざんこき使われる。アメリカ国民の6割が貯金もなく、生活がカツカツだ。その結果、多くのひとが寿命を全うする前に死んでしまう」。

生活がカツカツーーを英語で表現すると「Living paycheck to paycheck」だが、このフレーズはいわゆるバーニー節のひとつで、サンダースのスピーチの中では毎回必ず出てくる。

家賃が高騰するロサンゼルスで、卵の値段は跳ね上がり、関税でまた物価が上がるとなれば、この言葉は多くの観衆にいやでも刺さる。

集会参加者の体調を気遣うサンダース陣営

そんな中、猛暑で群衆の中で倒れる人が出てきた。するとサンダースはその度に「大丈夫か? いまEMT(緊急医療チーム)がすぐ行くから!」と呼びかける。

サンダースの集会では常に数千から数万の観客が集まるため、医療従事者たちが専用テントに10人以上常駐しており、誰かが倒れるとすぐ駆けつけるシステムが出来上がっている。さらに観客が脱水症状を起こさないよう、ボランティアたちが水のボトルを配って歩いている。

サンダースは医療チームが倒れた観客の元に到着するのを見届けると、こう続けた。

「多くの国民が経済的に苦しみ、病院で満足にドクターに診てもらうチャンスがない。医療を受けられることは、基本的人権のはずなのに。そして我々はみんな人間なのに」とサンダースが言うと、どっと歓声が上がった。

また、手話通訳が舞台の下に立っており、彼の一語一句を手話で伝えていく。

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