「洗い場は飲食店の生命線」【48歳タイミーさん】動画で猛学習した《皿洗いの奥義》を武器に、洗い場リベンジするの巻

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余談だが、この原稿の最終調整をしていたのは東京出張中。最近は出先でどんなタイミー案件があるのかをチェックして、時間が合えばタイミーをするのが習慣になっている出張タイミーの面白さはまた別の機会に記事にしたい(筆者撮影) 

これからタイミーで洗い場に入るなら、作業効率を高めるためのテクニックは必須だろう。タイミーの案件なんて、お店が忙しくて人が足りないから募集があるのだ。「経験者」として洗い場に送り込まれるなら、生半可なことは許されない。これは洗浄の戦場である。 

年が明け、私は次のステップに向けて新規案件にエントリーした。今度はローカル回転寿司チェーン店である。 

私は回転寿司が好きだ。日本中の回転寿司店を巡って本を出すくらい、回転寿司を愛している。いつか回転寿司店で働いてみたいと思っていた。それをやる時がついに来たのだ。 

回転寿司
回転寿司が好きである。お茶を入れて「今日は何を頼もうか」と考える時間が楽しい(筆者撮影)

格好だけは板前さんになって 

「タイミーから来ました」 

初めてのお店で呪文を唱えるこの瞬間、初タイミーの時に感じた緊張がフラッシュバックする。大丈夫なのか、自分にできるのか。 

若い板前さんの男性が事務所に案内してくれて、私がこれから着る白衣のサイズを選んでくれた。上着とズボンは、和帽子と共にLサイズを渡され、更衣室で着用開始。

クリーニングされ、パリっと糊の効いた白衣が気持ちいい。そもそも、こんな格好をする機会なんてなかなかない。 

頭の大きな私は和帽子だけ3Lサイズにしてもらい、前掛けを一文字結びで締め、更衣室を出た。 

「……板前やってらっしゃったんですか?」 

私の姿を見た板前さんが開口一番思わず口に出した一言だが、そんなわけない。寿司のスの字も握れないド素人だが、年齢由来による根拠のないいぶし銀の貫禄が、彼にそう言わせたのだろう。馬子にも衣装、タイミーさんにも衣装。形から入っていくのは悪くない。 

「今日は洗い場をお願いしたいと思います。ちょっと皿が来るまで時間があるので、この辺の拭き掃除をお願いできますか」 

おやすいご用である。ダスターでステンレスの棚を次々と拭いていく。 

手の届きにくい奥の方は埃も溜まっているので、ダスターはすぐに真っ黒になる。それを水洗いして再び拭くのを繰り返す。そしていよいよ、お客様からの皿が返却口に戻り始めた。 

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