「熱中症だけじゃない!」暑さで増える“意外な病気”のリスク。全国規模の膨大な入院患者のデータをもとに東京科学大が研究
これまでアナフィラキシーは、暖かい季節に多く発症することが知られていたが、連日の気象データと入院データを連結した研究は少なかった。そこで同大学の藤原教授と那波伸敏准教授(公衆衛生学)らは約5万5000件の日ごとの入院データと気温データを解析。
その結果、気温が高いほどアナフィラキシーによる入院リスクが増加し、特に、日平均気温が30.7度の場合、入院リスクが1.49倍増加することを明らかにした。
原因は気温が上昇すると活発化するハチなどによる虫刺されもあるが、卵や小麦などの食物摂取が誘発するケースなどが特に顕著だったという。

重篤なアナフィラキシーの罹患率は年間10万人あたり3〜50人程度と少ない。しかし、那波准教授は「実際に重篤なアナフィラキシーに罹る人は少ないものの、発症に対する懸念は大きい」と指摘する。特に、生後半年を目安に始める離乳食を与える際、多くの親が不安を持つという。
那波准教授は、「また特に暑い日などに風邪をひいているときは、離乳食を急に進めないなどの対応が必要だ」と語る。
気候変動や人口減少にも踏み込んだ先進的な研究
前述の気温上昇と喘息の関連に関する研究で注目すべきは、気候変動と人口動態を考慮したシミュレーションを取り入れたことだ。
藤原教授は、「医療体制は気候変動に合わせてどうすべきかを提言したことが新しい点だ」と強調する。
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