二子玉川で始める「楽天X」とは何なのか 教育・医療には巨大な可能性がある

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三木谷:それ以外のポイントで何か既存の産業に、ということであればシェアリングエコノミー全般ですね。先ほど、スマートレイヤーによって社会、人間の行動パターンが変わると申し上げましたが、これからオウニング(owning)エコノミーからシェアリングエコノミーにシフトしていきます。このシフトはたぶん恐ろしいくらい大きいものです。使わないものは貸してあげましょうよ、ということです。

山田:確かに子どもが小さい時だけ必要な部屋の設備というのは、全部3年間レンタルとかで契約して借りて、返しちゃったほうがいいわけですね。ゴミが出ますもんね。捨てなきゃいけないので。

三木谷:そういうニーズがあるので、私たちもラクマという、C2Cのプラットフォームを始めました。これがものすごい勢いで伸びている。18年間インターネットビジネスをやっていますが、今起こっているのは、すさまじい変化です。

やらないと決めているのは?

三木谷浩史(みきたに ひろし)/1965年神戸市生まれ。88年一橋大学卒業後、日本興業銀行に入行。93年ハーバード大学にてMBA取得。興銀退職後、96年クリムゾングループを設立。97年2月エム・ディー・エム(現・楽天)設立、代表取締役就任。同年5月「楽天市場」を開設。2000年にジャスダック上場。12年6月に発足した一般社団法人新経済連盟の代表理事を務める

山田:なるほど。となると、ビジネスチャンスは幾らでも毎日のように、三木谷さんの頭の中で思い浮かびますよね。

三木谷:だから、できるだけ自分でやることは限定して、他の人に任せるとか、提携をするとか、そうしたほうがいいかもしれないですね。

山田:これだけはやらないって決めているものはあります?例えばもうメディアはこりごりですか。

三木谷:テレビ局はもういいですね。

山田:テレビ局はやらないと。それでも、基本的に前広(まえびろ)ということですね。個人の生活が新たに変わって再定義されていく中で、大きな仕事をやっていきたいということですね。

三木谷:そういうことです。日本においては、もう1億人のユニークな会員数を抱えていますから、その会員向けにさまざまなことをいろいろな提携も含めながらやっていきたいなと。そういう意味では、前広姿勢ですね。

国際的にはどうかといえば、そうはいってももう少しメリハリは効かせないといけない。今のところはやっぱりEbatesとかViberを中心にビジネスを展開していく段階かなと考えています。その意味では、まだまだです。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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