雇用延長時こそ、厳選採用で「60歳就活」へ環境整備を

拡大
縮小
雇用延長時こそ、厳選採用で「60歳就活」へ環境整備を

ある人事コンサルタントが高齢者雇用に関する講演会を行うたびに必ず聞かれることがある。

「60歳で継続雇用を希望する社員に対し、どうすればあきらめさせられ、軋轢なく円満退社してもらえるか」

厚生年金の受給開始年齢引き上げに伴い、2004年の高年齢者雇用安定法(高齢法)の改正で企業は、(1)定年の引き上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年の定めの廃止、のいずれかの措置を義務づけられた。厚生労働省の調べでは、11年6月時点でこれらを措置済みとした企業は95・7%、大企業では99・0%に及ぶ。内訳は301人以上の企業で継続雇用制度の導入が93・6%と大宗を占める。

ただ、この継続雇用では、企業が労使合意によって労働意欲や出勤状況などの基準を設け、継続雇用の可否を「選別」できるとしている。

継続雇用者は9割にも

厚労省によれば、過去1年間に定年を迎えた人43万4831人のうち、継続雇用された人は73・6%、継続雇用を希望しなかった人は24・6%、そして、定められた基準を満たさず離職した人は1・8%(7623人)だった。つまり、働きたいのにそれが許されなかった「はじかれた社員」は2%にも満たない。

昨年12月28日、厚労省の諮問機関である労働政策審議会は、これらの選別できる基準制度を廃止し、「希望者全員に」65歳までの雇用確保を義務づけるべきとの報告書をまとめた。厚労省は今国会に高齢法改正案を提出、13年4月からの施行を目指す。ただ、この改正の狙いは、2%未満の「はじかれた社員」の救済だけではない。

 

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT