「服も肩書も脱ぐ」サウナが、ビジネスにもたらす一石二鳥のメリットとは…? 働く現代人にサウナが必要なワケ

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小林社長は、「自分たちの世代が役目を終えた後も、後世には社員が健康に働ける環境を残したい。そこに対して投資をすると決めた」と仰っています。現地を視察させていただき、気持ちのいい空間と経営陣の覚悟に、素晴らしい会社だなぁと感動したことを覚えています。

また、サウナだけでなく「懇親会ができるキッチン付きラウンジ」と「見晴らしのいいスペース」を併設することで、社員のリラックスを促しながらランチ利用や歓送迎会など、交流や節目を生み出すこともポイントだと感じました。

サウナで会社への愛着と採用率アップ

オフィスにサウナを設置する効果は、心身のリフレッシュにとどまりません。サウナが、社員同士のコミュニケーションの場となり、会社への愛着や思い入れ=エンゲージメントの向上にも期待ができるといいます。

先程ご紹介した「タマディック」では、社内懇親会や部活動の打ち上げ、サウナ女子会などの交流の場として使われているほか、社員の友人や家族を連れてくる体験会なども開催されているそうです。すると家族や友人から「とってもいい会社だね」と言ってもらえ、社員自身の会社への帰属意識も高まっているようです。ブランディングの効果的な発信にもつながりますね。

さらに「会社にサウナがある」という話題性は、採用にも効いてきます。「タマディック」はBtoB事業ということもあり、企業認知がなかなか広がらないという課題感を持っていました。会社にサウナがあることが、繊細な業務を行うエンジニアから「社員の健康を考えてくれる会社」と支持を受けて、採用の広報ツールとして大活躍したのです。もちろんサウナがすべてを解決するわけではありませんが、メッセージとしてのインパクトを生み出しているのではと感じました。

『シン・サウナ 人生は自分の“好き”でデザインできる』
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同じようにコクヨでも、サウナ部の取り組みを通して会社の社風が市場に伝わっていると実感しています。実際に2024年度の新入社員の一人、熱波さん(ニックネーム)は、なんとコクヨのサウナ部に興味を持ちコクヨを志望したといいます。もともと温浴施設でアルバイトをしていた熱波さんは、学生時代にコクヨサウナ部と私のことを知り、コクヨにエントリー。採用面接では、自己PRの際に熱波師として磨きあげた技を披露し、面接官である役員に情熱的な風を送ったと社内で話題になりました。

ほかにも、内定を3社持っていた中で、最終的にコクヨに入社を決めてくれた社員の理由にも驚きました。「コクヨは社内サウナ部をいち早く設立した先駆的な企業。学生時代にメディアで見てユニークな社風だなと興味を持っていた。きっと会社の中でもいろんなチャレンジができるのではないか」と。

100年企業でもあるコクヨは、一見お堅い会社だと思われます。ですがサウナ部の活動から、ゼロからイチをつくる社員の挑戦を奨励する社風と風通しのよさが伝わったようです。多くの新入社員から「コクヨって、なんだか面白そう」とワクワクした期待感を感じています。

川田 直樹 サウナプロデューサー

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かわた なおき / Naoki Kawata

1984年奈良県生まれ、大阪育ち。コクヨサウナ部部長。フィンランドサウナアンバサダー(フィンランド政府観光局公認)。一級建築士。東京のコクヨ株式会社で働き、働く空間の価値向上に携わる会社員。29歳で課長に就任し、その後部長や社長室長を歴任。サウナ愛をビジネスと掛け合わせ、コクヨ社内でサウナ部を立ち上げたのを機に、他社のサウナ部も巻き込んだ「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE」を共同設立。ビジネスとサウナの可能性を探求し、国内外を飛び回り施設構築や情報発信を行い、多数のメディアに出演。新たなカルチャーを「つくる」と「ひろげる」領域でサウナプロデューサーとしても活動している。著書に『シン・サウナ 人生は自分の“好き”でデザインできる』(KADOKAWA)がある。

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