転職を考えるきっかけを見逃がさない

 

それは、会議でのこと。先週も先々週も「やる」といいながら仕事を先延ばしにする女性社員に対して「やる気がないなら、はっきりしてくれ。遊びじゃないのだから」と、いらついたあまり発した言葉に泣き出す女性社員。

すると「ひどい、キツイ言い方にも程がある」と周囲は女性社員をかばい始めました。それほど常識を逸脱した発言をしたつもりはなかったのですが、後日聞いた話で「彼女はお母さんの看病で大変な状態」であったことを知りました。要するに家庭の事情で仕事が手につかない状況であったのです。

職場の同僚と比較的付き合いが薄いこともあり、同僚が全員知っていたことに気づかなかったことは事実。ただ、それでも「仕事なんだからちゃんと約束を守ってほしい」と心の底で思っていますが、それより何より周囲に「Kさんは仕事のことばかり考えて、人の気持ちを考えることができない」という印象を刷り込む出来事になってしまいました。

こうした悪い噂は速攻に広まるもので、同じ会社の誰からも「Kさんは人の気持ちがわからない人」との烙印を押されてしまいました。

こうなるとイメージを回復するのは大変。外出先から帰ると「お疲れ様。いろいろありがとう」とお菓子を買ってきたりするのですが「今さら点数稼ぎしようとしても、遅いよね」という声が聞こえてきたりします。

さらに上司は「君は女性のマネジメントが苦手だから、このプロジェクトは無理」として、女性社員とかかわる仕事から外されるようになっていきました。その後もKさんなりに努力はしたのですが、悪い印象はなかなかぬぐえません。ついにあきらめて転職を決意。同業他社に転職をしました。

結果として新しい職場では苦手だった女性社員に対して「過去の失敗を繰り返さないように気を使っています」と意識が高いこともあり、同僚からの評判もまずます。転職したことは大成功になったようです。

もし、あのまま同じ職場にいたらどうでしょうか? 悪い印象をぬぐう努力に忙殺されて疲れ切ってしまったかもしれません。このように考えるといい選択であったと言えそうです。

さて、このように職場で烙印を押された悪いイメージがあったとき。その烙印は以降の努力次第で挽回できるもの。ところが払拭するのが難しい状況あったとすれば、転職するのは有効な選択かもしれません。同じ職場で誤解を解くため、努力するより、新たな気持ちで頑張れると思えるなら考えてみてはいかがでしょうか?

 

※写真はイメージです。本文とは関係ありません

 

 

高城 幸司(たかぎ・こうじ)
1964年10月21日、東京都生まれ。86年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。96年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(小社刊)など。

 

 

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