敷地の中には長女一家と孫一家が住むが、よっぽど困ったときでないと、助けを借りない。92歳1人暮らしのコツは何事も慎重に、ゆっくりと。
「たとえばね、棚の上にある花瓶を使いたいとき。踏み台に乗っかって、そうっと花瓶を抱えたら、ひと呼吸おいて片足ずつ慎重に踏み台から降ります。慎重にゆっくりやれば、たいがいのことはどうってことなく片付くんです」
昔ながらの広い家の中も意識してよく歩く。
「この歳になったらね、外出ってあまりしないんです。1カ月に1回、予約した病院に行くくらい。北海道の冬は雪がすごいから庭のお散歩もできません。だから家の中を歩くしかないんです」
掃除や洗濯、炊事とこまめに動き、趣味と家事の合間に前屈、足踏み、キッチンカウンターを支えにした腕立て伏せなどの運動もこなしてしまう。


ゆっくり慎重に歩けば、杖がなくても大丈夫
外出するときもゆっくり慎重に歩いて杖は使わない。以前、杖をついて歩いたとき、その杖につまずいて大変な目にあったという。

「そそっかしいから元気があるときのほうが転んでいたの。なんだ、ゆっくり慎重に歩けば転ばないんだって、80歳を過ぎてから学びました」
茶目っ気たっぷり、けっこうなマシンガントークで、よく笑う三重子さんを見ていると、92歳という年齢は数字にすぎないと思わされる。
だが、三重子さん自身は90歳を超した頃から、年齢を意識するようになったという。
「2人の姉が90代で亡くなっているんです。だから、どうしても目安にしちゃいますね。私もそろそろかなって。でも残された時間がわからないのが人生。少しでも毎日をよりよく過ごすために、私はずっと趣味を持ち続けたいですね」
書籍の写真:亀畑清隆

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