最近では、「毎日の仕事に着ていく服=普段着」と考える人も増えているようです。オフィスカジュアルの広がりによって、Tシャツやポロシャツ、デニム素材の洋服など、カジュアルな装いが受け入れられる職場も確かに増えました。
けれども「自由な服装」と「何を着てもいい」は同義ではありません。ビジネスウェアは、以下のような目的を果たすための道具です。
• 相手に敬意を示す
• 信頼感を与える
• 作業を快適に、あるいは安全に行う
• 仕事のスイッチを入れる
• モチベーションを保つ
たとえば、少し視点を変えて、筆者の地元の中学校での事例を挙げます。
地元の中学校では近年、夏の暑い時期にはジャージ登校が基本になっています。最近の酷暑を考慮すれば理解はできますが、ジャージ登校の期間中に開催されていた音楽会で、生徒たちがジャージ姿で登場する光景に、筆者は強い違和感を覚えました。
同様にクリーニング店を営む友人も、卒業式にヨレヨレの制服で出席する子が増えていると、嘆いています。
かつては「ハレの日」として特別な装いで臨む場だったものが、今は「それでいいじゃん」と片付けられてしまう。でも、服装の自由が尊重される時代だからこそ、「場にふさわしい装いとは何か」をもう一度問い直す必要があるのではないでしょうか。
洗いやすさ優先で着心地が犠牲に
ビジネスウェアの素材は見た目だけでなく、着心地やパフォーマンスにも直結します。
特に最近は「家庭で洗えるかどうか」を基準に選ぶ人も増えていますが、洗いやすさを優先すると、実は着用中の快適さが犠牲になることが少なくないのです。
たとえば、スーツなどのビジネスウェアに多く使われる素材の1つにウールがあります。水分を含むと繊維の表面にあるキューティクルが開き、湿気を外に逃がして調湿するので、長時間着ていても蒸れにくく快適に過ごせます。
また、シャツなどは綿がよく使われますが、綿は吸湿性が高いため汗をよく吸収し、体へのストレスを減らして楽にしてくれます。
反面、ウールは洗濯のときに水を使ってもみ洗いをすると、開いたキューティクルが絡まり、フェルト化を起こして縮みが起こります(関連記事:縮まない・伸びない「ニット」おうち洗いの"正解")。綿素材は折れやすいのでシワになりやすく、これらはデメリットとして受け取られがちです。
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