「とりあえず洗える服」を買う人の残念すぎる盲点 オフィスカジュアルの広がりでTシャツやデニム素材もOKだからこそ考えたい「服選びの原点」

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イニシャルコストだけを見ると確かに高く感じますが、長く着るという前提があれば別に高くはないですし、オーダーは自分の身体に合っていて、着ているときにストレスがないぶん、むしろ合理的な選択肢になります。

「長く着る」と聞くと、大事にしなきゃと、気を張ってしまう人もいるかもしれません。でも、値段が高いから大事にしなければいけない、というのは本来おかしな話です。

目的に合わせて着ること、着たら休ませること、そして定期的に洗うこと。安い服でも高い服でも、既製服でもオーダーでも、やるべきことは変わりません。

服を長く着るというのは、「神経質に大事に扱う」ということではなく、「理にかなった行動をとる」ということで達成されます。適切なケアをしたり、必要に応じて修理やサイズ調整をしたり。そうすることで服の機能や状態は長く保ち続けることができます。

時間とともに劣化して終わる消耗品として使い捨てるものでなく、暮らしの中で長く使う財産なのです。こうした意識の変化は、持続可能なファッションにもつながり、服の大量廃棄といった社会課題にも、良い影響を及ぼしていくはずです。

着心地、見た目、寿命を保つために

先にも書きましたが、ビジネスで着る服はその着る目的から考えると、日常の洗濯だけでは維持が難しく、クリーニングを活用するのが基本になります。

適切な着数を用意し、適切なタイミングでクリーニングに出せば、状態を良く保ちながら長く着ることができます。そうすれば買い替えの頻度が減り、トータルのコストは確実に下がります。クリーニングにかかる費用は、十分に回収可能な投資です。

さらに、適切なケアが前提にあれば、快適に着られる素材・デザインの服を選ぶことができて、結果的に着心地、見た目、寿命のすべてを兼ね備えた“賢い買い物”になるはずです。

仕事で着る服は「自分をどう見せたいか」、そして「仕事をどう進めたいか」の意思表示でもあります。そうした問いに向き合ったとき、自然と今の時代に合ったビジネスウェアのあり方や、手入れの仕方が見えてくるはずです。

中村 祐一 洗濯家 国家資格クリーニング師

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なかむら ゆういち / Yuichi Nakamura

1984年3月1日生まれ。長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。洗濯から考える、よりよい暮らし方の提案を行い、「衣・食・住」における「衣文化」の革新に洗濯の側面から取り組む。「洗濯王子」の愛称で、NHKなどのテレビ出演、日経新聞連載など各種メディアにも多数出演し洗濯のアドバイスを行う。全国各地のクリーニング店メンバーと共同で運営する、洗濯のキホンを伝える講座「ゼロから学ぶ洗濯」も好評開催中。

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