精密すぎる「北斗星プラモ」に込められた思い 部品点数はなんと1200点!

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もう一つの大きなこだわりは「説明書」だ。単なる組み立て手順の解説書ではなく、実物のメカに関する説明が詳細に書かれた説明書のボリュームは約60ページにも及ぶ。

堀田雅史さん

たとえば運転席の解説では、すべての装置類の名前と機能を詳しく紹介している。実車の「立体資料」というコンセプトのとおり、プラモデルを作りながら実物のメカニズムを理解してもらおうという意図だ。堀田さんは「内容はすべて独自に取材しています。これがやりたかったんです」と、説明書に込められた思いを語る。

設計に必要な取材は、現在JRで使用されている現役の機関車から、公園や博物館の保存車まで全国各地に及んだ。トータルでかかった日数は丸々3週間ほど。目で見たり、写真を撮ったりするだけでなく、台枠の梁など見えない部分は「手探りで触って」確認したという。堀田さんは「手が真っ黒けになりましたね」と笑う。

堀田さんが取材で感銘を受けたのは、鉄道の現場で働く人々の機関車への愛情だ。「整備の方はこんな大きな機関車のすべてを知っていて、これは何ですかと聞くと即答なんです。気持ちを込めて整備していることが伝わってくるんですね」。そこで感じた思いが、模型と説明書に込められた。

予想を上回る大ヒットに

実は、鉄道車両のプラモデルを企画するにあたっては、当初は反対意見も多かったという。だが、問屋や販売店などの反応は「当初から良かった」と、営業部長の木内岳寛さんは企画が始まったころを回想する。「1/45 トレインミュージアムOJ」は、実物のメカを内部まで再現した鉄道プラモデルというコンセプトだけでなく、同社のビジネスにおいても新たな展開を生んだ。

その一つは「鉄道モノ」のイメージがあまりないアオシマが鉄道車両のプラモデルを開発していることを浸透させるために、製品の開発過程をブログやツイッターで公開したことだ。伝えたかったのは、これだけ細かく取材して作っているという「本気度」だ。ブログなどで開発過程を公開したことにより、車や飛行機などの模型を愛好するモデラーからも「これだけ細かい模型をぜひ作ってみたい」という反響が大きかったという。

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