精密すぎる「北斗星プラモ」に込められた思い 部品点数はなんと1200点!
題材として選ばれたDD51形ディーゼル機関車は、1962年に1号機が登場し、総数649両が製造された日本を代表するディーゼル機関車の一つ。数は減っているものの、現在も貨物列車などの先頭に立って活躍する姿を見ることができる。
公式ブログでは、DD51形を選んだ理由として「優秀な機関車を後世に残したい」と説明されているが、特にポイントとなったのは「エンジン」だと堀田さんは言う。DD51形に搭載されているエンジンは「DML61Z」。排気量6万1000CC、出力1100PSの「車一台分くらいある」という大型のエンジンを前後のボンネットに2台配置している。
「このエンジンの成功は日本の技術史の一端として特筆すべきものだと思います。2台のエンジンを協調してこんな大きな機関車を操縦するという技術がいかにすごいことかも伝えたかった」と、堀田さんは指摘する。メカの再現に挑む製品の第1弾にふさわしかったわけだ。
また、別の理由としては「まったく新しいシリーズ」だということを主張する意味合いもある。アオシマは約40年前に1/50スケールの電気機関車シリーズを製品化しており、伝説的な鉄道プラモデルとして今も再生産されている。
この再生産を手がけたのは堀田さんだ。だが、今回の「トレインミュージアム」では「過去の製品を参考にして作った、というのではなく、今までまったく手がけていないものを作りたい」という思いから、過去に製品化していないディーゼル機関車を選んだという。
仕様は当初貨物用の予定だったが、開発中に「北斗星」廃止のニュースが飛び込んできたことから、第1弾は「北斗星」仕様とすることに決まった。
細部まで“こだわり”の設計
スケールは、メカを徹底再現すると同時に「作る工程を楽しんでもらいたい」との理由から、ある程度大きなサイズにするべく、鉄道模型の規格の一つ「Oゲージ」のスケールである1/45に設定した。
Oゲージは欧米で標準的な、新幹線と同じ線路幅1435mmの鉄道を1/45スケールで再現した規格のため、本来の線路幅は32mmだ。だが、この模型は線路幅24mmとより狭い「OJスケール」を採用した。日本の在来線鉄道の特徴である狭い線路幅(1067mm)をリアルに再現するための規格だ。堀田さんは「(在来線車両は)下がすぼまった美しさがないと話にならないんですね。もしOJという規格がなかったとしてもこのスケールにしたと思います」と、リアリティへのこだわりを語る。
このプラモデルの部品点数は約1200点。エンジン1台だけでもパーツの点数は48個という精密さだ。台車に組み込むバネには本物のバネを使ってサスペンションを可動式にするなど、実物のメカを再現するためにプラスチックのパーツ以外も盛り込んだ。一方で作りやすさにはこだわり、一回の組み立てで大きな範囲ができあがり、かつ塗装の際の色分けもしやすいように設計している。「パーツの分割が一番設計で苦労したところ」と堀田さんは言う。
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