タオルは「拭くもの」ではなく「振るもの」だ 大阪泉州のタオル屋が応援の風景を変えた

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大和谷社長が次に目をつけたのは、コンサートやスポーツでタオルを振って応援する光景でした。サザンオールスターズのコンサートなどで、若者たちがタオルを振り回して盛り上がっているのを見て、「これだ!」と思ったのです。東京に営業所を開設し、大手商社にアプローチをして応援グッズ市場の開拓に成功しました。

洗うタオルから応援するタオルへ

チャレンジ精神旺盛な大和谷進社長

応援用タオルは、幅が20センチと細長く首に巻けるのが特長。「密度が高く、染色にも気を使い、色落ちしないようにしています」と高品質を訴え、価格競争に陥っている浴用のタオルとは一線を画しています。

有名アーティストのコンサート会場で売られるタオルは、言わば、ワン・アンド・オンリーの貴重品で、ファンには垂涎の的。コンサート会場の外でも売っているので、ふらっと立ち寄って買うこともできます。いずれも人気で、売り切れ続出です。 

野球のチーム名入りタオルも、球場での応援には欠かせません。ただ、応援チームの業績によって売れ行きに波があるのが大和谷社長の悩みの種です。「関西のチームが勝ってくれれば、売り上げもどんどん伸びます。でも負け始めると、とたんにガクンと売り上げが落ちるのが困りもんです」と言われます。

しかし、そこはなにわ商人。関東の野球チームのタオルも請け負っていて、そのチームが前半戦好調のおかげで、売り上げも「絶好調!」だったそうです。その後、関西のチームが好調になると「やはり、野球は関西や」と、トラ縞模様のタオルに精を出しました。この変わり身の早さも、また関西です。

スポーツは、野球に限らず相撲、格闘技向けなど、大量の応援オリジナルタオルも制作しています。また、プロだけでなく高校野球などのアマチュアスポーツチームの応援用タオルも企画。中国の工場などと協力して、100枚ロットから約1週間で提供する納入体制も構築しました。

さらに、大手企業や団体へのB to Bのビジネスにも注力。年賀タオルや贈答用タオルなど、ノベルティ(広告宣伝用の社名入り無料グッズ)としての活用を、法人相手に提案しています。

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