セキセイは大阪阿倍野区の文房具屋さんです。こないだまで社長で、今は会長の西川雅夫さん、この方には口癖があります。それは「なんでやねん」です。道行く人を見ても、なんであんなかっこしてるんやろ、とか、ラーメン屋に入っても、なんでここだけ行列できるんやろ、とか、色んなことに問題意識を持っています。
以前、会長がおっしゃっていたのは、東北地方に行って信号を見たら、こっちではみんな横になってるのに、あちらでは縦になってた。なんでやねん、と聞いたら、雪が降るので横にしていたら積もってしまう、だから縦にしてます、と言われたと。今の若者は、すぐに答えばかり求めようとします。「だけど竹原さん、大事なのは答えではありません。問題を見つけるのが大事なんです」とおっしゃいます。
「なんでやねん手帳」とは?
社員にもその意識を持ってもらおうと、小さなサイズの「なんでやねん手帳」というのを作りました。開けてみてもほとんど何も書いてありません。真っ白です。家の中とか、通勤の途中とか、いろんな場所で思いついたことを、その手帳に書かせようというわけです。百貨店の文房具売り場に行ったら、こんな商品が売れてた、なんでや、ということになるし、うちの会社の会議はなんでこんなに長いねん、となる。
それでこの会長さんは時々、全社員の「なんでやねん手帳」を集められます。それをチェックされて、いま百貨店行ったらこんなもんが売れている、うちの商品になんか使えるんちゃうか、という具合に、ヒット商品のネタ・アイデアを考えます。こないだの会議、エラく長かった、という社員さんの声があれば、ホンマやな、こんな会議いらんな、と社内改善・効率化にもつなげます。
会長は、みんなの「なんでやねん」を集めていくつかの項目に分け、毎年「なんでやねんベスト」も選んでいます。ある年の「なんでやねんベスト」には、「募金を集める24時間テレビの出演タレントにギャラが出るのは、なんでやねん」といった面白いのもありました。
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