なぜ現代人の読解力は低下しているのか?「ちゃんと読めない・聞けない人」が急増する”7つの要因”

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②会話量の低下

会話というのは、その場で相手の話を理解し、適切に言葉を投げ返すことで成り立つ、まさしくラリーの応酬です。

会話を通じて新しく言葉を獲得するほか、自分が持っている言葉や表現を積極的に使うことによって、読解力はもちろんのこと、言語化力全般が伸びていきます。

ですが、会話の機会が減れば、言葉のインプットとアウトプットが減るため、おのずと読解力は低下していきます。

スマホ(スマートフォン)依存、会議のオンライン化、対面での集まりの減少、テキストベースのやり取りの増加、地域コミュニティの衰退、マスク装着の普及──などの影響で、昨今、人々が直接会話をする機会が減ってきています。

家庭においても、スマホを持って(イヤホンをして)一人ひとりが自分の世界に閉じこもるような傾向が強まっています。

こうした環境の変化により、多くの人が読解力低下の危機に瀕しているのです。

③スマホの受動的使用【思考停止】

スマホで提供されるコンテンツやサービスは、多くの場合、ユーザーに「思考させない」よう設計されています。

ユーザーを動画やゲームやアプリに没頭させることで、提供企業は利益を得ることができるからです。

また、ウェブサイトやSNSを見ていると、ユーザー一人ひとりに最適化した関連動画や関連広告が表示されます。

一見便利な「思考しなくてもよい生活」の危険

私たちは、何かを買ったり選んだりするときでさえ、自分の頭で考えていない可能性があるのです。

A地点からB地点に行く際、以前であれば、公共交通機関の時刻表、乗り換え方法などを調べ、移動中も細心の注意を払っていました(いつでも思考していました)。

しかし今では、瞬間的に移動の最短ルートや交通手段などがスマホに表示されるため、考える機会が減ってきています。

人間は思考する際、例外なく言葉を使っています。

「思考しない=言葉を使わない」です。

思考しなくてもよい生活は一見すると便利ですが、読解力という観点では危惧すべきことだらけです。

最近では、識者の間で「だらだらスマホ」や「ながらスマホ」によって脳疲労が起き、認知能力──思考力や集中力、記憶力、情報処理能力など──が低下する、いわゆる「スマホ認知症」も増えてきています。

目的なくスマホを見続けることが、読解力に悪影響を与えているのです。

④認知機能の低下

読解力と認知機能の関係は、切っても切り離せません。

認知機能とは、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を通じて得た情報を基に、物事を認識したり、言葉を使いこなしたり、計算・学習・記憶を行ったりする機能のこと。

この機能が低いほど、現状認識が難しくなります。

認知機能が高ければ、物事を多角的に見られる(=全方位からスキャニングできる)ため、より正確に状況を読み解くことができます。

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