JR西「最新の車両メンテナンス」は何が違うのか 営業列車の車両データ活用、未然に故障防ぐ

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しかし、完了しても人が検査する作業が完全になくなるわけではない。たとえば、ドア開閉の状態検査の一部がデータに置き換えられたとしても、「ドアのレールやグリースの状態は人が目で見ないとわからない」からだという。

JR東日本のE235系や線路設備モニタリング装置を搭載した営業列車は線路の状態をリアルタイムで把握している。東海道・山陽新幹線でも線路や架線など地上インフラの検査は「ドクターイエロー」から、いずれ検査機能を搭載した営業車両に置き換えられる。

線路設備モニタリング装置
JR東日本のE235系に搭載された線路設備モニタリング装置(撮影:風間仁一郎)
【写真をもう一度見る】JR西日本の「MiyoCca」開発スタッフや車両の状態を常時把握する「モニタ状態監視システム」の画面など

JR西日本が今回発表したモニタリング保全は車両に関するもので、在来線の営業車両を使った地上設備のモニタリング保全は含まれていない。では、鉄道業界における地上設備の検査は専用の検測車、営業車両のどちらの方向に進んでいくことになるのか。この点については、「どれくらいの頻度で見るのかによって違ってくる。営業車による検測、検測車による検測を使い分けることになるのではないか」という。

JR西の技術が他業種にも

モニタリング保全は現在も進化を続けている。現在のモニタリング保全は完全なCBMではなく、従来の時間基準保全の要素とCBMの要素の組み合わせであり、「現在はTBMに分類される取り組みが大半」というが、「将来的にはCBMにシフトさせていきたい」。

JR西日本もメーカーのようにCBMのシステムをほかの鉄道会社に売り込んでいくということはあるのだろうか。この点については、「そういったニーズがあれば、お使いいただけるかもしれない」とのことだった。

なお、JR西日本が開発した画像解析AI技術はすでに他業界で採用されている。東洋紡のグループ会社の不織布製造ラインにおいて、今まで目視で行っていた検品作業をJR西日本の画像解析AI技術に置き換えたことによって、目視検査数が9割減り、年間約1000時間の作業時間削減が見込めるという。鉄道会社の技術がほかの産業でも高く評価されていることの証しである。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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